加山雄三写真集  芸能生活35周年記念

「永遠の若大将」 その2

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”若大将”語る
音楽で愛と勇気のメッセージを伝えるのが
僕の役割かな。
芸能生活35周年を迎えてのお気持ちは?
大学卒業と同時に昭和35(1960)年5月に東宝に入社して、まるまる35周年。
時の流れは不思議なもんで、アッと言う間の気もするし、よく考えると長い時間だとも思えるし。
例えば、デビューした時に生まれた人
が35歳になっている。
そう思うと「えー。そうか」(笑)と感無量になるわけですよね。それだけ長い時間がたっているんだなぁと。
も実感として「光陰矢のごとし」というか、「少年老い易く学成り難し」という言葉も身に染みるなぁ、と常々思います(笑)・・・。
やっぱりね、あと2年で還暦でしょ。60歳。
普通、会社は定年退職ですよね。若い頃、想像していた定年のイメージは、ずうっと先のよ
うな気がしていたのがね、実際、その直前まで来ると「え。もうそんなかよ」っていう実感がありますよ。
アッという間の35周年。
若大将の10年間は非常に長く感じます。
若大将シリーズはちょうど10年間ですね。
ええ。昭和36年の「大学の若大将」(’61)から昭和46年の「若大将対青大将」(’71)までの10年間。
最後の方は、映画の製作本数も減って、いわゆる斜陽の時代ですよね。それからは、テレビだとかドラマの出演が割合多くなりましたし、音楽はずうっと継続してやってます。
そう考えると、あの若大将ってのは、たった10年間だったんだなぁ。それから25年間の
ほうが短かったような気がするんですよ。(笑)若い頃の一日が非常に長く感じて、年を取るとアッと言う間に過ぎる。若い時ってのは、エネルギーが活発であって、自分自身の時間も、小刻みにいろんなことをやるから、実際の時間よりも自分の中の時間のほうが早い。そういう事かな。熱力学の第二法則ではないけれど、エントロピー増大の法則で考えると(笑)。

芸能生活の35周年を振り返ると?
自分は職業は「俳優」と書いているんだけどね。継続していつでもコンスタントに仕事ができているのは、どうも歌のほうだよね。
歌番組が度々あったり。コンサートは毎年、26ステージ位やってます。お陰様でいつも満杯になるんですよ。だけど俳優業のほうは時代劇をちょこっとやったり、ゲストで出る程度で、ちょっとおろそかになってしまっている。もしこれからやるとしたら、例えば、特別面白い企画があって、またゼロからやり直す気持ちでないとね。これはヤバイかななんて思ってますけどね。(笑)。

音楽はタイムマシン。
聴いただけでその時代に戻れるんです。
加山さんの曲を聴いて、映画のシーンを思い出されるファンの方も多いと思いますが
「音楽というのは、自分が聴いた時の状況を思い出すタイムマシンみたいな力がある」と僕はよくステージで言ってるんだけど。
例えば昔の音楽を聴いた時に、なんとも懐かしい気持ちになったりすることがある。ユーミンの「あの日に帰りたい」とかね、聴いただけで、その時代にポーンと戻って「ああいいなぁ。懐かしいなぁ」って思ったりするわけですよ。
エルヴィス・プレスリーなんて
聴くと学生時代に戻っちゃったりするんです。そういうことが「音楽の力」としてすごくあるから、映像の力というのは、音楽に比べるとやや弱いと思んだよね。

35周年記念ツアーはいかがでしょうか?
普段あまり歌わない歌をちょっと入れようかなと思ってます。節目を大切にしようと思う心は大事なので、その意味では重要な年だと、自分にいいきかせたり。でも、ものすごく派手にするとかね。野外で大騒ぎをして、花火も一緒にあげちゃったりとか、そんなことはしませんけど(笑)。

是非また映画をおやりになってください。
よっぽどよいものでない限りは、やりたくないんだよね。良いものという意味は、娯楽性の高い芸術作品でありたいというか。
僕が俳優として本気でやって行こうとおもったのは黒澤先生の「赤ひげ」(’65)からです。他にも「椿三十郎」(’62)とか「狙撃」(’68)だとかね。ああいう娯楽作品で、今でも印象に残っている映画のような素晴らしい作品を是非やりたいよね。
もう今更、若大将シリーズはできないわけだけど。もしも、やるんならトレーニングやり直さなければいけないのかなぁ。(笑)。

今年はご結婚されてから25周年の記念すべき年でもありますね。
よくここまでもったなというのが、実感です(笑)。でも、今の僕があるのは女房(美恵子夫人)のおかげだと思っています。
それと年月の経つのが早いなぁと思うのは、子供を見てるとね。もう23歳だよ。長男の信宏がね。ついこの間までガキだったのが
「オヤジそんなこともわかってねぇのか」なんてね、言われちゃうんですよ。そんな僕としたらガクゼンとするようなことが、3年位前からひんぱんに起きるようになってきたよ(笑)。まあ逞しいのはいいんだけど、僕も結構年をとったのかな、なんてね。

ファンの方々とは、太い絆で結ばれていると
確信を持っています。
次男の徹大くんがドラマデビューされましたが、お父さんの影響というのは?
あるんだろうね。オヤジの背中を見ていてなんとなくそういう気持ちになったのかもしれないね。
僕は本人の意思が大事だと思う
ので、やりたければやれ。
ウチのオヤジ(上原謙)は「こんなプライバシーのない芸能界なんて俺ひとりで沢山だ。お前、絶対芸能界
に入るんじゃないぞ」って物凄く反対したんですよ。僕の場合は反対で「この就職難の折に、お話があったら、手揉みしながらでも、宜しくお願いします」と頭下げちゃった(笑)。
こんど長男もポニーキャニオンから「是非音楽を」とお話があって。本当に親の気持ちに
なってね。やれるものならやってみろ、本人の意思が一番大切だからと。

最後になりますが、改めて35年間を支えてくれたファンの方へのメッセージを
この35年の間、皆さんよく本当に私のことを支持してくださいました。35年間もやってこれたのはファンの人たちのお陰です。本当に心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。
オヤジの問題や会社をつぶした時のこととか、いろいろな事もあって、皆さんの心を
痛めたと思うんです。その度に、みんな、涙を流してくれたり、地団駄を踏んでくれた。そういう事を乗り越えて、現在があるということは、まさに、私自身の心と全く同じ所にファンの方が存在していてくれるような気がするんです。
つまり僕もファンの方もお互い
を信じている。何があっても、結果、時だけが解決してくれることもある。
どんな立場であろうと、人間には波があって、それが内海で
あればおだやかな中にも高低がある。外海だったら大きな波になるだろうと。ただ、それは万人共通であるということ。その苦しみに対して、音楽を通して愛と勇気のメッセージを伝えるのが僕の役割かな。
それからステージを見て、その瞬間、非常に幸せを感じて
くれるとか。あるいは私の書いた本を読んでくれて、ほのぼのと幸せを感じてくれる。
つまり、私の目的は「全ての人が幸せに思って
くれること」試練を共に乗り越えてくださったファンの方々とは、太い絆で結ばれているという確信を持って、「40周年」に向けて一生懸命がんばりますので、ひとつ宜しくお願い致します。
改めて心の底から、皆様にありがとうございますと言わせて頂きます。

加山雄三とスターたち
星由里子さんと 星由里子さんと
高田美和さんと 吉永小百合さんと 木の実ナナさんと
三船敏郎さん、星由里子さんと
われは海の子
光進丸(初代)
ドカベン号
自 宅 で
いかがでしたか、若さ溢れる加山さんを十二分に堪能していただけたと思います。
4月には、新しい写真集が発刊されます。古希を過ぎて、今も若大将に相応しい活躍をされている加山さんの魅力が満載されているに違いないと思います。発売が楽しみです。

10年03月04日新設