さだまさし

 

さだ)こんばんは、さだまさしです。せっかくこうせつさんが作ってくれた時間を水谷
   さんが台無しにしてくれました。私の喋る時間ほぼありません。
   あんな水谷さんも素敵ですけど、喋らないさだもいいかもしれません。

 案山子

さだ)加山さんの坊ちゃんがソルトレイクシティーに留学した直後に、加山さんが奥様
   と一緒に、車を運転していて、ラジオからこの「案山子」が流れてきて、思わず
   奥様が号泣をされた。加山さんが一緒になって泣いてて、信号で停まってたら、

     隣に車が停まって、その運転手が「あっ、加山雄三が女房を泣かしてる」と
   そんな 目つきで見られたといったことをよく言ってくださるんですけどね。

   さきほど水谷さんが歌われた「上を向いて
   歩こう」。私は辛い想い出しかない歌なん
   ですけども。高校の同級生が集まると、
   みんな歌が好きなんで、さだ、カラオケ
   行こうぜ!って。
   カラオケボックスで85点以上出すと、
   ボトル1本サービスというのがありまして
  「さだ、1本サービスしろよ!プロだから
   85点、軽いだろ?上を向いて歩こうって
   いい点が出るらしいぜ」って。

   歌ってみるかって。♪上を向いて♪って、やったら、77点で。
   あれ〜えっ、おかしいじゃん!?
もう一人の友だちが「さだ、自分の歌、歌えば
   100点だろ」って。「だよね〜」って「案山子」を歌ったの。そしたら67点!?

   水谷さんの話を伺っていると加山さんのファンは情熱家が多いんだなあとつくづく
   思います。私も加山さんが大好きで、加山さんが居なければ正統なバイオリン弾き
   になっていたと思います。加山さんが居たおかげで、私は歌作りの悪の道に入り
   込んでしまったんです。
  「君といつまでも」がきっかけでギターを始めて、ずっと歌っていたんでコード進行
   を覚えてしまって、同じコード進行で曲を作りました。友だちに聴かせたんです。
   そしたら「お前天才だよ」って。その言葉が印象に残って、下宿に帰ってまた同じ
   コードで作って翌日、友だちに聴かせたら「昨日のきょうで、また新曲作るなんて、
   お前天才だよ」って。今までどんなに上手にバイオリンを弾いても、こんなに喜ん
  
 でくれた友達は居なかったなって。その日も下宿に帰って、また同じコード進行で
   もう1曲作って、翌日友だちに聴かせたら「お前、他のコードは無いのか?」と。
   これをコードな(高度な)欲求とよんでいます。
(ピアノでツッコミが)
   良いツッコミをありがとうございます。

   僕は加山雄三研究家の一人として、加山雄三さんの歌のどこがすごいのかについて
   一つだけあげておきたいと思います。美しい鼻濁音です。加山さんの歌は本当に
   鼻濁音が綺麗です。こんな綺麗な鼻濁音は、美空ひばり、由紀さおり、加山雄三。
   その次が私でしょうか。
   僕は九州人ですから鼻濁音の文化がありませんので一生懸命、加山さんを真似て
   鼻濁音を美しく歌おうと思っているところであります

 秋 桜

さだ)山口百恵さんのために書きました「秋桜」、
   所詮67点の歌です。最近、さだのコンサート
   も年配の人が増えていまして、年を取って
   やることが無くなってきたんですね、普通の
   コンサートに行くとずっと立ってなくちゃ
   いけない。さだが手頃ねって、さだまさし
   コンサートにおいでになる年配の男性が増え
   てます。ひじょ〜うに不愉快な傾向です。
   できれば若い女性に来ていただきたい。お父
   さんが増えると雰囲気が違いますね、
   会場の匂いも。レモンイエローの香りがしな
   くなります。藍染のような匂いが。

   お父さんて若い頃にフォークソングとか
   聞いてないから、年取ってそういえば
   あのころ聞いたっていうので、記憶が
   時々ゆるやかなんですよ。で、かけち
   がってるんですよ。
   さだまさしの歌が好きでねっていう人に
   話伺って好きな曲ありますか?って聞い
   て5曲あげてもらったら必ず「神田川」
   が入ってますから。

   
   もうすごいお父さんになると、谷村新司さん、わかります?太ももで歌う人です
   よ。南こうせつさん、こめかみで歌う人ですよ。大好きな先輩ですけど。谷村新司、
   南こうせつ、さだまさし、この3人がアリスだったと思い込んでるオヤジがいたん
   です。歌は、俺のコンサートに来てください。
   羽田空港のね、トイレで。男って並んでするんですよ、うつむくか、壁向くかなん
   です。用をたしてたら隣にお父さんがきて、壁を向いたまんま
  「さだまさしさんですね、僕はあなたのファンです。また、歌い始められたんですね」
   俺、いつ辞めたんだ。
   そういう時は無防備じゃないですか、こっちは。あまり話したくないの。
  「応援してますからね、頑張ってください」
  「ありがとうございます。」
  「あの〜、握手してください」、しましたよ。あの微妙な握手忘れないと思います。
   無防備な時にはあまり話しかけないでください。
   最近は否定しないようにしてるんです。
  「さださん、アリスでしたね?」はい!って。
  「さださん、かぐや姫でしたね?」、はい!
   こんなこと言ってると時間が伸びてしまいますので、3曲目になりますが、私の
   代表作ではないのですが、何十年も人気が高い「主人公」という曲を。

 主人公

さだ)ありがとうございます。こんなにすごい
   ペースで3曲歌ったの初めてです。

あの〜、やっぱり5分以上喋ちゃったですね?

さだ)すいませんでした。

でも、心にしみる歌だな〜!どうしてこんなに
いい歌作れるんだろう?もう羨ましいですよ、
ほんとに詩がどんどん出てくるんだな。信じら
れないですよ、僕はほんとに詩が全然ダメな
人間なんでね・・・。

詩、自分で書いたの全部で532曲の中で、たった23曲しか無いんですよ。彼の場合は全部
といっていいくらい自分で詩を書いてる。

さだ)加山さんの作詞作曲の歌で「ある日渚で」っていう曲が大好きなんですよ。

珍しく作詞作曲、追いつめられて書いたんだ。

さだ)追いつめられたら出来るということですね、加山さん。

確かに。リオデジャネイロね、海岸でね、せっつかれてね。「あさって撮影だから」それ
までに作れって、言われて。素敵な浜辺で紙の上に石を置いて飛ばされないようにしなが
ら、書いて。バイオリンもって、まさか、神田川やるんじゃないよね。

さだ)憧れたもんですよ。「ある日渚に」、あんなにカッコいい加山さんの笑顔。
   ぜひご一緒したいなと。

バイオリン持って、まさか、神田川やるんじゃないよね。

さだ)得意のナンバーですから。
   いつでも弾けますよ。

はい、わかりました。彼のバイオリンをバック
にというのは申し訳ないような気がするけど。

さだ)そんなハードルあげないでくださいよ。

「ある日渚に」、聴いてください。

 ある日渚に

bose)お得なイベントですね、きょうは。

さだまさし君の世界に引き込まれたね。

さだ)加山さんね、自分で詩が作れないって
   仰ってるでしょ、そんなことないんです。
  「君といつまでも」のセリフはアドリブ
   なんです。

bose)それ、すごい話ですね。
   どういうタイミングで?

曲を作って渡したまんまで、映画の撮影に行っちゃったんですよ。毎日放送のスタジオで
レコーディングをしますからって言われて行って。まさかと思うような美しいストリング
スで、♪タラララ〜♪ってきた時に、幸せだなあ、って気持ちになって。その当時はプレ
スリーの歌に、セリフがあったんですよ。流行ってたんですね。それで、幸せだなあって
出ちゃった。

さだ)そのアドリブに口説きのすべてが・・・。
   ご説明しましょう。男性が女性を口説く時に、「あのねえ」って言うと女の人は
   引くんですよ。加山さんの手口は違うんです。こっち向いて「幸せだなあ」って。
   女は私を見ないで、何が幸せなの?”つかみ”です。ふり向いて、
  「ぼかあ、君といるときが一番幸せなんだ」、ああなんだ、私といるときが・・・。
   え〜っ、私といる時が!それって告白!?そこでグっときたときに、
  「ぼかあ」って、たたみかけるんです。
  「死ぬまで君を離さないぞ」これが素晴らしい!いいですか、死んだら離してくれる
   んですよ。「死んでも君を離さないぞ」っていうのは嘘になりますから。
  「死んでも君を離さないぞ」って言われたら、相手は離しにかかりますよ。

bose)ある意味、死後硬直的な!?

さだ)これで女心、こっちのもんですよ。そして加山さん、フェミニストですから、
  「いいだろ?」って、結論を女に預けるんです。女はいいわって思えればいいわって
   言えばいいんです。嫌だと思えば、嫌って言えばいいんです、
  「そうか、いいんだ、いいんだ」って加山さん、帰ってくれますから。

bose)なるほど、どっちのルートもとれるように出来てるんですね。これをアドリブで
   考えたんですか!?恐ろしい人ですね。

さだ)恐ろしい人です。いかがでしょうか?

俺はそんなに深く考えないでやったけどさ。すごい解説をするね、あなたは。
分析が最高だよ。

さだ)だって、いきなり「幸せだなあ」って言われて何が幸せなんだと思いましたもん。

それを、おちょくってね、(彼は)「海といついつまでも」っていうのを作ったんです。

さだ)加山さん、「海といつまででも」です!

その中のセリフ、「澄ちゃん、私は何とか・・・」って、ちょっと説明してよ。

さだ)もうやめてください。

bose)結構、(舞台)転換に時間があるみたいなんで、割と喋っていいらしいですよ。

さだ)岩崎宏美さんとデュエットすることになって、加山さんが来てくれたんですよ。
   葉山洋三っていう名前で。加山さんに、
  「今、こんな曲を作ってパロディやってるんです、お許しください」って、言ったら
  「いいよ、俺いつだって歌いに行くよ」
(加山さんの物まねで)って。

bose)すいません、強制終了っていう合図が来ましたんで。

さだ)詳しいことを聞きたければ、またいつの日か。
   さだでした、ありがとうございました。

 

2016年08月18日新設