加山雄三 俺は100歳まで生きると決めた
  (文化放送podcast 2023年7月18日〜)

7月18日に文化放送の「くにまる食堂」で放送された「俺は100(歳)まで生きると
決めた」の内容をレポートします。
同日配信された文化放送Podcastでは、ラジオで未公開の内容も配信されました
ので、その内容も含めてレポートします。下からどうぞ!

今回は「第20回 谷村新司さんへのメッセージ」をレポートします。

下からどうぞ!

 

 第20回 谷村新司さんへのメッセージ
 
 谷村新司の存在
 

野村)リスナーの皆さんご機嫌いかがでしょうか、野村邦丸です。そしてこの番組の
   メインパーソナリティは?

加山雄三です。どうぞよろしくお願いいたします。

邦丸)前回に続きまして、加山雄三作曲、作詞谷村新司。サライという名曲の話。
   これ24時間テレビの企画の一つとして始まって、加山さんと谷村さんで
   曲を24時間以内に作ってくださいと。そういう日本テレビさんの無茶振り
   があって、そこでどうするよっていうんで、加山さんは一旦家に帰って
   今度メロディ作りを始めて、谷村さんはこのサライの曲名タイトルは谷村
   さんがサライってどうですかって言って決めたという。移動式の住居あれ
   みたいですね。ペルシャ語らしいですね。

あ、そう。何かわからないけどさ。

邦丸)キャラバンだから砂漠を旅する人たちの、その住宅がタイトルになったは
   いいんですけどペルシャ語だそうです。

あ、そう。初めて知ったよぉ。

邦丸)本当、ただその24時間の制約の中で作んなきゃいけないし、企画としては
   できた曲を全国に、中継先に、楽譜を送って全国で大合唱しようっていう、
   とんでもない企画があったわけでしょ。

とんでもない企画だよ。考えてみたら、とんでもないと思うんだけどね。

邦丸)作曲家、弾厚作、イコール加山雄三さんですけど、こんだけ時間的な制約が
   あって、それも要するに今度は谷村さんと一緒に作るわけじゃないですか。
   共同作業ですよね。こういう仕事って他にもあったんですか?

いや、ないですね。本当にもう珍しいっていうか、こんなこと初めてだから、
要するに僕の場合は自分で好きな時に好きな音楽を作って、それで詞がない
作曲家だから。あとメロディ先作って、あとで岩谷さんがいた時は全部後から
詞ができてくるわけだよ。

邦丸)曲先ってやつですね。

そうそう、曲先だよね。同時に歌と一緒にできたってのは「夜空を仰いで」って
曲だけ。自分が作詞して作曲も、して同時にできたのがそういうのがある。非常
に数少ないよね。作曲した曲はね530曲があるんだよね。実際レコーディングした
のも入れたら、ものすごい数だからビックリするよね。

邦丸)弾厚作名義の曲は本当にたくさんあるんですけど、その中で共同制作です
   よね。加山雄三さんにとって、作曲家としてあるいは歌手としてサライの
   存在って、谷村さんと二人じゃないと成り立たない曲なんだけど、加山
   さんにとってどんな存在?

いや、それはね。彼がやっぱりさ、まとめてくれなきゃさ、このメロディできない
わけだからさ。彼は全国から募集したいろんな詞を土台にして書いてもらいたいと
思ってたんだけど、それやってたんじゃ間に合わないから、とにかくサライ!?
キャラバンサライってあるじゃない。移動式の家。温かいものを感じませんか?
って言うから。いいよ、いいよ。それでいいや、それでどんな感じで言ったら
”遠い夢捨てきれず、故郷を捨てた。”そうかなと思ったら故郷になっているん
だね。住んでいたところがあったっていろんなことは言うけど、いいんじゃない
って。それしか言いようがないやな。それ全部いいよ言うたら、それで出来上がっ
ていった。そのうちにまとまったらね。やっぱりメロディ乗っけたくなって乗っけ
たらまたいいんだよ、これ。黙って歌ってみたくなる。それはね、全国ネットで
出るんだよ。絶対いいなと思ったもんね。絶対これがいけると思ったもんね。
そしたら本当にみんな歌ったんだよね、最後。

邦丸)夏場ね、24時間テレビを見終わった後に俺もちょっと時間経ってからです
けど、カラオケボックスに行ってサライを歌うと盛り上がるんですよ。

それね俺、聞いたことある。みんなで歌うと盛り上がる。それ非常にいいじゃない
かって。それからもう毎年のように。やっぱりテーマになっちゃってさ。24時間
テレビの始まるとあのメロディやるじゃんよ。

邦丸)カラオケボックスでだいたい帰ろうかってなって、締めます、サライって
   やると老若男女みんなが肩組んだり、手繋いだりしてみんなで歌詞を追い
   ながら歌うじゃないですか。私事ですけど、私もアナウンサーをずっと
   やってますんで、徳光和夫さんの役をやるわけですよ。サライをバックに
   して徳さんの実況をね、やったりすると、もう本当に気持ちよく終われる
   んですよね。

そういうことなんだよな。これはね。本当不思議だと思うけど、音っていうのは
やっぱり大事だな。やっぱり。俺、音楽を愛してきてよかったなと思うのはね。
全て音楽というものは世界が共通なもので、どこへ行っても通用するわけだ。
言葉は通じなくてもメロディーだけは通じるって。それで俺は音楽を愛してきて
よかった。それはうちの親父のおかげだなと思ってさ。親父のレコードを集めて
さ。アルバムって、昔78回転のレコードを5枚くらいやらなきゃこのセット終わら
ないよなあって。それずっと聴いてた。親父のいない時にそっとかけんのよ。
世界共通の音楽は言葉であると思って、それで俺は音楽をやってよかったなと
思うことが多いね。

 谷村作品と弾 厚作作品
 

野村)谷村作品と弾 厚作作品って、俺は素人だから分からないけど、全然違うもの
   に感じますね。

全然違うね。感覚的に言っても全く違うなと思うけど、俺が作ったとしても海の
イメージが残ってるけど、彼の場合はもう海とか関係なく、天高く登って、その
辺から聞こえてくるような音なんだよ。だから全然違うって思ってたよね。

邦丸)全然違う2人の作曲家、メロディメーカーが一緒になってできたサライという
   曲は、詞を見てるとやっぱりチンペイさんの詞だなっていうのを思うんです
   よ。そこに加山メロディーが流れてくるじゃないですか。よく合いましたね。

よく合ったと思うけどね。それは電話で、ああだ、こうだって言ってたけどね。
お互いにさ、それでいいよ。メロディーちゃんときちっと書いてんじゃん。それ
いいですねって言ってやってたからさ。出来上がってみたら、もう本当にこの男
はやっぱり詩人だなって。俺と一緒になって花瓶をるだけの力、備前焼きをやっ
て、そういうことだなと思って。

邦丸)広い意味で考えると芸術性が似通ってたのかな。

そういうことだね。共通点があるのは、やっぱり芸術性だと思うんだよ。音楽の
中では確かに世界共通の言葉だと思うよね。

邦丸)お互い広い意味でのアーティストということで考えてみると、曲の成り立ち
   は全然違う2人なんだけど。

同じようなもんだと思う。俺いつもそう思ったもん。音的にやっぱり優れてる、
高いところで繋がってるって感じするんだよね。

邦丸)サライの一番最後のフィナーレのところでそこからどんどん盛り上がって
   いくときに、それこそ谷村作品の「昴」じゃないけど、天の方に向かって
   いく二人が触発したってのはこれすごいな。

だからさ、だいたい彼のタイトル「昴」なんて名前はどうして「昴」なんだって。
スバル座?関係あるか?団子みたいな星屋の塊。あれスバルって言うんだ。そう
いうことを考えないでくださいよ、って。よく言われた俺。

邦丸)谷村新司さんとの思い出からサライの裏話まで伺ってきたんですけど、
   改めてチンペイさん、谷村新司さんに加山雄三さんから送るメッセージを
   聞きたいと思います。

この詞じゃないけどね。”いつか帰る。いつかは帰る。きっと帰るから。(という
詞が)いつか登る。いつか登る。きっと登るからよって。あと追って登っていく
からそういう気持ちに取れるんだよ。その気持ちはね。もうすでに彼は書いていた
んだなと思うよ。大したもんだと思うよ。

邦丸)偶然なんだけど、そうなんだよな。

帰ったの、どこへ帰ったの、空へ向かって帰ったんだなって。俺も帰るよ、その
うち。お前、先に行くなよ!っていう気持ちがあったな。

邦丸)まあ、加山さんがね、谷村さんと肩組んでもう一回「サライ」を天国で歌う
   までは相当時間かかると思うので、おそらく俺の勝手な推測です。

だけどね、あの世には時間がないって。だから全然いつまで待ってたっていいよ
って、俺。

邦丸)恐らくチンペイさんはね、加山さん時間かかりすぎですよ。っていう気が
   するけどね。

いや、今テーブル作ってんだからって言えばいいんだよ。

ここまでの内容を音源でお楽しみください。(時間 12分46秒)
下からどうぞ。

 第20回 谷村新司さんへのメッセージ
 

2025年4月28日新規作成