高島屋絵画展(7/31) 
   トークショー(森口博子) 

今回は7月末に開催された高島屋絵画展でのトークショーの中から7月31日の森口博子さんとの対談の模様をレポートしました。

芸能生活20周年を迎えられた森口さんですが、随所に加山さんに対する尊敬が現れて和やかなムード一杯の対談になりました。その中から印象に残ったやりとりを書いてみました。その雰囲気が皆さんに伝われば幸いです。

右は対談前に堅く握手を交わす加山さんと森口さん、実物で初めて見た森口さんは華奢でとても可愛いお嬢さんでした。
でもさすがは元バラドル?の森口さん、トークも絶好調で我々を充分楽しませてくれました。

 

まず加山さんが登場、続いて森口さんが登場します。すかさず会場から「かわいい〜!」と声がかかります。その声に森口さんは加山さんの方を見て「正直な方ですね」と応えて会場の笑いを誘います。
(森口)「加山さんはいつも愛が溢れているので側にいる人みんなが元気付けられます、それで明日も頑張って生きて行こうと思えちゃう。そんな凄い存在のおじ様に今日も出会えて私も頑張れます。」
(加山)「おじい様と言われないだけいいか」
今年の6月に光進丸で誕生日をお祝いしてもらった森口さん、司会者から光進丸の良いところについて聞かれ
「プロ顔負けの愛情のこもったお料理が次から次へと出てきて、それから夜はカラオケタイムとなって加山さんが一人で4時間くらい唄ってました。(笑)全体的に狭くてシャワーなんかも窮屈な軍隊(知らないんだけど)の船みたいなものをイメージしてたのですがもうホテルみたいに豪華でした。もうウットリと元気をもらって幸せな一日を過ごせると思います。」と答えると加山さんは照れたように
「海の上に来るとみんなテンションが変わるんですよ、陸から1メートル海に出ただけで普段だったら歯が浮きそうな言葉でも”ウワー”ってこんなになっちゃうんだ。」と続けます。

「海では歯の浮きそうな言葉でも・・・」と解説する加山さん

加山さんの絵について聞かれた森口さん
「とにかく凄いという一言では片付けられない、強さの中に優しさと愛が溢れてて感動しまくりでした。それと去年の絵と違う発見がありました。それはブルーの色が生まれ変わったような気がしました。」(会場からも拍手)それを聞いた加山さんが「それって凄いね、ちょっと変わってるんですよ、自分でも凄い嬉しいんですけど、どうやったら自然の青に近づけるか散々探りましたが”波と富士”という波と富士山が一緒になった絵が一つだけあるんだけど、その絵を描いてるときに水平線の青を描いてて、そのさきに波を描こうと白を重ねて青のウェットのまんま塗っちゃおうとぬっちゃったんだけどこの青が白に混ざった瞬間に本当に波の色が出た。今までは波の色をパレットの上で作ってたんだけど、青に白い泡が混ざった状態でその色になった。初めて海の色というのはこの色なんだとわかった。その青に着目したのは凄いと思う。」と色の違いについて解説します。
(森口)「入ってすぐ”あれっ、ブルーが生まれ変わってる!”って思いました」
(加山)「それは凄い感性ですよ。」
(森口)「波って”引いていく波”とか”寄せていく波”とか色々あるじゃないですか、いろんな波があるのを加山さんの絵で知りました。ブルーって冷たい印象があるんだけど、加山さんの花のブルーは凄い暖かく感じる。」
とべた褒めでした。

「やっと本物の画家らしくなった」と今年初めて自覚できた。

(森口)「”ラブラブビーチ”っていう絵で遠くに描いてある小ちゃい男女がちゃんと抱き合って”ウニュウニュ”と動いてるように見えて、この二人は「ネッチョリ」という感じがわかるそういう細かいところにも愛が溢れてて清潔なエロを感じました。」
(加山)「面白いですね、ありがとう、小さいでしょう、だから遠い過去の話だというか」
(森口)「それはそれでしょうがないとして」
(加山)「なんだよ!(笑)、不思議な事に、どういうわけだか小さく書くときも思って描くとその通りに筆が動いてくれることが多いんです。前に”白い砂の少女”を描いたことがあるんですよ、遠くの方に夫婦と犬を描いた。犬はほとんど点なんだけど描く時に「犬」って思って描いたら犬になってた。ちゃんと犬が座っているのが描けた。」
(森口)「それは絵に限らず加山さんの生き方、こんな小娘(こむすめ)に言われたくは無いかも知れませんが」
(加山)「思ったこととか、願ったことはちゃんと形になるんだよというのが絵にもこうやって表れるのかなと思います。」
(森口)「今回の絵を観てて”加山雄三”さんの絵が凄いのじゃなくて一人の画家としての絵で感動したのは初めてです。」
(加山)「そりゃあ嬉しいな、浅井さんも今年の作品をみて”池端直亮画伯でも今年は個展をやらせていただきます”と言ってくれた。絵には確かな眼を持った方からそう言われて嬉しかった。今年初めてそう言われて「やったあ〜」と思った。その人と同じようなことを言ってくれる貴女は小娘(こむすめ)ですか?」
(森口)「ごめんなさい、生娘(きむすめ)です」(会場大爆笑)

芸能生活20周年を記念してコンサートをやるという告知に「行くよ」と会場から声がかかると、「本当ですか、ありがとうございます。マニアックな方ですね」とピ−スサインで答えてました。

(森口)「加山さんの歌声はNHKの番組で洋楽の歌をコラボレーションさせていただいて「これは知らなかった”加山雄三の世界だ!!”と思って大全集買っちゃいました。」
(加山)「それを聞いて船にご招待したんですよ、あれだけ買ってくれたらやっぱりね」
(森口)「痛みとかも包み込んでくれる歌声に私の30代の知り合いとかも凄い存在の方ですよねとみんな言ってます。私の心の中では「シナトラとかペリーとか超えてるなって思う。日本でこんなに深く歌えてネッチョリとしたラブシーンを描ける人はそいういないですよ。」

「ほらっ、お客さんもそうだって言ってますよ」と森口さん、お客さんに同意を求めます。

漆器のお椀の蓋に「海老」の絵が描いてあるんですが、加山さんは何も見ないでスラスラと描いちゃったらしんですよ。と司会の方が説明すると
(加山)「顧問弁護士からあるとき書類が届いたんですよ。弁護士さんからの書類というと普通はあまり良い知らせではないんでちょっと?と思ったんですが、見てみると弁護士さんの叔父さんの個展の知らせが入っていたんです。その人については自分も以前から注目していた人だったのでその個展を観に行きました。その先生と初めてお会いしたときに物凄い衝撃が走った。そして今回の個展用の作品を作るにあたって習いに行った人がその先生のお弟子さんだったという偶然も会ったんです。
蒔絵に好きなものを描く事になったんですが頭の中で考えてチャッチャッチャッて”海老”を描いて、出来上がってきたものをみたら偶然足の先が二つに割れていた。感動してもう一匹描いたら先生も”う〜ん、こりゃあ凄いね”って海老も”海老だ、海老だ”って描いたら海老になってるんだ。(笑)
海老を見ながら書く場合に比べると頭の中に一回租借したものを書く場合の方が速さが違うしどういうわけか動きがある。
お椀の蓋に何を描くか悩んで”稲穂”にするか”赤まんま”にするか”波”にするか”富士山”にするか全部練習したんだけど中々決まらなくて、制作開始の日になってもいいものが浮かばなくて雑談しているうちに”やっぱ、海老ですかね”って、”最初に閃いたもので行きます”と先生に言ったら”それがいいと思います”とおっしゃったから”海老”にしたんです」
(森口)「海老の髭が動いてるみたいで”あっ、これ食べたい”と思いました」
(加山)「そっちにいくかね」(とあきれた様子で笑う)

(森口)「黒い漆のお盆のセットになってるのあるんですが、食器でロマンを感じる物を初めて見ました。岩が切り抜いてあって、岩ってあんまり美しいとか思わないのにロマンティックに見えました。」
(加山)「やっぱりしょっちゅう側で見ているものは頭の中に印象として残っている、田子島をいろんな形で変えて描いたんです。
清水焼のほうで染付けってやってますがそれには堂ヶ島にある”三四郎島”を描きました。」

身近なものが染み付いているんですね」と加山さん

 

 

(森口)「通っている歯医者さんの先生が加山さんの大ファンで今回絵を購入されたのです。これから歯医者に治療に行く度におじ様の絵を見ることが出来るんです。」

最後まで楽しい話題で和ませてくれた森口博子さんでした。

25分に及ぶ対談が終ってミニライブになりました。てっきり森口さんとのデュエットが聴けるのかと思っていたのですが、加山さんはギター1本持ってステージに再登場です。
さりげなく「ある日渚に」から唄い始めます。「光進丸」、「夕陽は赤く」と続きます。会場はウットリ加山さんの歌声に聴き入ります。
そして最後の「旅人よ」ではコーラス部分をお客さんが大合唱、唄い終わった加山さんも「最高!」とご満悦の様子でした。

平成17年08月18日新規作成