2007年 1月 BSデジタル
  The W0RD 情熱の創造者たち

    加山雄三 VS 福山雅治 

          

1月に放送された福山雅治さんとの対談内容をレポートしました。

対談は福山さんの写真展の会場で行われました。

君の写真、僕は好きだなあ、それにしても随分いろんなとこ旅してるね
仕事も含めて30ケ国弱旅をしてきました。最初は撮ってなかったんですが、何度か行くうち同じところに何度も行くわけじゃないんで記録しようと思ってはじめました。基本的に表に出そうと思ってなくて撮ってきた写真ばかり。邪心がないところが気に入ってもらえたのではないかと思います。
天然のオブジェの砂浜」っていうのがいいよ、自分で撮ったのか?あれオレゴンの浜辺かい?
ライカのセルフタイマーで撮りました。なんで場所が分かるんですか?
俺も「オレゴンのアサリ捕り」という絵を描いたことがあって同じ浜辺だと思う。絵を描きたいなあとか写真を撮りたいなあとか思う場所が非常に似ているのが嬉しくなった。
加山さんの絵を見て感じたのはまず孤独って言うのが浮かんで来て
君はどう、孤独?
どっちかと言うと寂しがり屋だと思ってます。
俺も同じようなもんだな、孤独じゃないんだけど寂しがり屋は寂しがりやだね

見てる僕が寂しいから絵を見て孤独を感じたんですかね?
それはそうじゃなくて俺の中にある内面が出てるから結構寂しがり屋だというのが出てるかもしれない

若大将としてずっと全国民的に認知されという人生を送って来られてるのできっといい思い楽しい思い、スターでなければ見れないものを沢山見てらっしゃると思いますけどその反面およそ普通の生活をしている人が考えられないような悲しいこと切ないこといやなことがきっとあったんじゃないかと思ってそれが誰もいない海を描かせているのかなあと
すごいねえ、よく読んでるねえ、その通りだよ。余計なことばっかりしてるから大借金を背負うわ、倒産はするわ年中やってる
果たしてどこまで人を信じることが出来るんだってといことで自分自身に課している課題のような気がしてたんですね
そのとおりだね、俺の半分の年齢で分かるって言うのはすごいよ。
人が喜んでもらえることにそれほど苦労せずに自分の喜びに代えられるみたいなことが出てくるんだよ。こういう馬鹿なことをやって苦労しなきゃ分からないことだなあって思えるのよねえ。

人の喜んでいる顔を見るのが好きっていうのが基本的にあるような気がするんですよね。

200号の大作「ノイシュヴァン・シュタイン城」の製作風景も紹介されました。

小学校の一年生から高校3年までずっと成績が良かったのは音楽と図工だけ、あとはまるでダメ、それが今こういうことになってるんだから不思議だね

みんなが格好いいって言ってるのに合わせてあげなくてはいかないかって思ったことありますか?
思ったこともないし、自分では決して格好いいとは思ってないし、普段の俺はこんなもんです、と思おうとする努力をする。
それはやっぱり二代目だからだと思う。親父が天下の二枚目でちやほやされて後でえらい苦労してるのをみていると、隆盛を極めて上へあがったら必ず落ちてくるのだから、俺だって上にいったら必ず落ちてくるんだろうと思う。実際そうなるからね。君くらいハンサムだったらなんの抵抗もなかったと思う。

ファンにいつも感謝の気持ちでやってこられたのですか?
最初の頃はどうでも良かった。俺はいつやめようかと思ってた。
音楽だけは友達として付き合おうと思ってた。俺は俳優だぞ!と、音楽というのは本当に好きでいたいんだ。悲痛な叫びを唄に込めてそれで必死に食べていくんだという感覚にはなりたくなかった。わがままを言いながら好きなときに作って好きなときに唄って、そしてみんなが喜んでくれればいいって。
基本的にそういう考え方で押し通してきたんだけど、その姿勢がよかったのかもしれないから、今でもいろんな音楽のジャンルを超えて、時代を超えて聴く。

ファミリアンな雰囲気これがいいだろ。学生時代は練習だと言うとすぐみんな集められたけど今は仕事があって無理なので、練習できなくてどんどん劣化すのを食い止めるのに、どっかで集まる方法としてたまたま加瀬がやってるライブハウスがあった。
無理やりやらせてもらったんだけどこんなに上がっちゃったことないのよ。
100人しかいなくてすぐ前にお客さんがいる。自分の顔をじっと見ている。どこ向いていいかわかんなくて横向いてやってた。
ケネディハウスのライブの模様も楽屋風景と併せて紹介されました。
2007年は70歳になるのでひとつの節目としていい唄を書きたいと思っている。本当にいい曲だと思わないと出したくない。
(曲は)どこからやってくるのですか?
それがわからない。「海その愛」なんかはベッドに寝てたらメロディが出てくるのさ。あれ、このメロディいいなあ、そのままそっとギター取りに行って弾きだして、面白れぇって下に行ってピアノに向かった。鼻歌を録音してあとで聞きなおして、コードとメロディはほとんど同時に出てくる。

いろんな人の曲を聴いてて、これは良いなあってのはある。ビギンの「涙そうそう」すごくいいんだ。曲も詩もいい。なんで?沖縄の雰囲気がこういうメロディをつくるんだな
今これほどみんなに歌われる曲、こんなの作れたらいいなあ。
素直になりたいんだよなあ。湘南サウンドの典型というのを作ってやろうと思っている。ひとつヒットしちゃうとそれを超えるものをつくるのは難しいよな。

会った途端、「ここにほくろがあるんだ」と福山さんのほくろを確認していた加山さん。
君の絵を描いてきた。でもすぐには上げない。贈呈式は今やるけど、ほくろを追加したいし、しばらくミュージアムに飾らせてもらって1万5千人くらい観たらプレゼントする。
対談後の感想。

大スターであると同時に普通人であるという一見相反するものを持ち合わせてないと続けられないんじゃないかと思うんですけど、それを実際感じることができてよかった。
その辺を掘り下げて聞いてみようと思ってたんですけど、それはもう分かってるからいいじゃんという空気を加山さんから感じまして、それよりさあもうちょっと楽しい話しようみたいなそういう先輩の懐の大きさを感じました。
楽しかったし、やわらかい安心感のようなものを感じた時間でした。

もっともっといろんな話したいね、相当下調べしてきてんじゃないかって、彼もいろいろ準備して準備した中から構築していく人間なんじゃないかな。
いい曲を作りたいと思うのは同じだと思った。

おまけとして「お嫁においで」を一緒に

唄が終わって

実は歌詞間違えたんだ俺!
もう一回やります?
もう一回やろうか!
イントロ♪
をわざと間違えた?加山さん
あ、ごめんごめん
加山さん!
笑いながら福山さん絶句

絵をプレゼントされた福山さんはお礼に写真を撮りたいと申し入れます。

07年01月18日新設