加山雄三ショー

「森光子 私にいっぱいのお母さん」A     

昨年の12月に放送された番組を2回に分けてレポートします。

この番組は1987年に製作放送された番組ですが、昨年の12月にNHKBS2で「蔵出しエンターティナー」というの番組の森光子さんの特集の中で再放送されました。

私の「加山雄三ショー」のコレクションに残っていなかった番組でしたので放送されたのはとてもラッキーでした。
パートAでは加山さんの奥さん、めぐみさんと森さんのエピソードをお楽しみください!

忘れないうちに、私事で恐縮なんですけど、私の家内がお母さんにくれぐれもよろしくと言っておりました。
まあ嬉しい!覚えててくださいましたか。
あれは今から22,3年前になりますか、やはりTVドラマでね、
加山さんの奥様、当時は松本めぐみちゃんでした。
若い若いとてもエキゾチックな美少女でいらしゃったんですけど。
(照れる加山さん)
ご一緒させていただいて母娘の役だったんですけど、半年経って終わりまして、それから何ケ月か経って、わたくし銀座を歩いておりましたら、後ろから「お母さん」って呼んでいただいて、もうジ〜ンときましてねえ、嬉しかったんです。
そうですかあ
めぐみさんにお母さんて呼ばれてから、いろんな方のお母さんをやるようになって。
めぐみさんがお母さんて呼んでいただいた第一号!
第一号ですか
そうなんです。
よく俳優さんのお仲間とかがお母さんお母さんと言うんですよね、家内が一番最初なんですか?
第一号です!
そこでですね、お母さんで思い出しましたけど、もう一つ森さんには代表的な舞台があるんですけど、林芙美子さんの「放浪記」。
あれは大変な代表作の一つだと思うんですけど、今はもう林芙美子さんといったら森さんと
思ってる方も沢山いると思いますが

私はね役者ですし、林芙美子さんは作家でいらっしゃいますから。
ご苦労は、孤独感の深さというのは、あちらの方がずっと上だと思いますけど。
初演しましたのが昭和36年ですから26年前ですね。
林芙美子さんがお亡くなりになって、そう時間が経ってなかったもんですから、皆さん覚えてらっしゃる方が沢山いらっしゃるので、林芙美子さんを演じるには、やはりどういう方だったかいろんな方に聞いて廻ったんです。
お癖とかタバコを吸う仕草とか、いろいろ考えましたけれども混乱してしまいまして、あんまりお聞きしたら。

つまり言ってることがみんな違う
違うんです、逆のこともあって。
記憶っていうのはそんなものなのかもしれませんけど、それでこれは白紙に返って、一から脚本にのっとって林芙美子さんを演じようと思いましたら、最後に机にもたれて寝るシーンがあるんですが、林芙美子さんのご主人が”あれはうちの書生にでもお聞きになられたんですか?”っておっしゃってくださったんです。
似てたということだと思うんですけど。

森さんはなんでも人間研究というか、興味を持って人の心理や何かをあれ(追求?)してる、自然に答えを描かれている。
それは大したもんですよ!
お芝居の中で詩を口ずさむ叙情的なシーンがあるんですけど
三幕の一場なんですけれどね。
林さんという方は皆さんもご存知のとおり、大変苦労なさった方で。
そのときも東京で生活にも恋にも疲れてボロボロになって、お母さんのいらっしゃる第二のふるさととも言うべき尾道に帰ってしまうんです。
その尾道で山や海を眺めながら口ずさむ詩があるうんです。

尾道はこだまの町なり
  山が呼び海が応える
旅を行く列車は長々と悲しみの声をあげ
  その声を海に残し山に残す

恋を失える女
  捨てさりし男の名を呼べば
こだまは男の名を運ぶ
  尾道はこだまの町なれば

いやあ驚いたなあ!よく覚えていらっしゃいますねえ
このお芝居はねえ、約800回近くやらせていただいてますので
800回!?こりゃまたすごいですねえ。
じつは林芙美子さんのことを考え、森さんのことを考えてましたら、ここで詩を朗読していただこうかと思っていたんですけど。
こういうのをみつけたんですよ。
「私にいっぱいのお母さん」
これは非常に森さんにピッタリかなと思いまして。
ご存知でした?
いえ、存じませんでした。これが私へのプレゼントですか?
いや、それだけじゃないんです。
つぎのページを見ていただきますと
あっ、弾厚作作曲の譜面です。
じつは林芙美子さんの詩に、僭越ながら私がメロディをつけさせていただいて、森さんにぜひ歌っていただきたいなあと。
これが今日のプレゼントです。
まあ、ありがとうございました。でもこれを私が歌うんですか?
そんなに難しくないメロディで作ってありますので。
私がこのメロディを弾きますので、詩を皆さんに紹介してください。

加山さんの伴奏で森さんが詩を朗読したあと

「私にいっぱいのお母さん」を一緒に歌いました。

「私にいっぱいのお母さん」

私にいっぱいのお母さん
両手にあふれるお母さん
果物のように太陽のように満ち溢れるもの

この世の果てから
蹄の音をさせてくる緑の馬車
幸せはパンのカタチをしている

お母さんの乳房のようなカタチかもしれない
世界に満ち溢れた人間のお母さん

仕事をしてはいつもうつむいているお母さん
笑ってるお母さん
水を汲んでいるお母さん
写真よりもきれいなお母さん

私ねえ、さっきも申しましたように、小さいときから歌が大好き!
前歌をしていましたけれど自分の持ち歌がなかった。
もうなんだか、持ち歌を初めていただいたような気がするんです。

そう言っていただけると嬉しいです。
しかもね、その作詞が私が一人前の女優として扱っていただけた「放浪記」の作者の林芙美子さん、そしてこの曲にメロディをつけてくださったのは、私のことを一番最初にお母さんと読んでくださった方のご主人!
ほんとに「私にいっぱいのお母さん」というか、私は今幸せで一杯です。ありがとうございました!
ありがとうございました。
森光子さんでした。
加山さん!優しくて素敵!!
いやあ、そう言っていただけるだけでも幸せで一杯ですけども。
森さんて方も、本当に素敵な方だなあとつくづく思いました。前からいろいろなところでご一緒させていただいておりますけれども、やはり本当に人間として謙虚でそして素直で、愛情が一杯で人間が好きで。
そういうところが人の心を打つそういうものをお持ちだと思います。
本当に今日は素敵なひと時を森さん、ありがとうございました。

最後に「今は別れのとき」を加山さんが歌って終了となりました。

エンディング・コント
お〜い、なんだよ君達。
ちょっと、今日は出番がないって言っておいただろう。
用はないんだよ。
似合わないのを履いちゃってさ。
いいから、帰れ!帰れ!帰れ!
帰れよ、早く消えろって!
お前もだよ!
ちょっといい加減にしろよ。
ちょっと加山雄三ショーの恥だよ、君!
どういう顔してんだ、このやろう!顔見せろ!
はい!
あっ、森さん!
へっへっへ。
しかしねえ、こういう格好するとコントやりたくなっちゃう。
今度コントやりましょう!
あっ、もうやってんのか!?
終わり

08年02月07日新設