「小堺一機と渡辺美里のスーパーオフショット」

     ニッポン放送(11月9日)

毎週火曜日にニッポン放送で放送されている「小堺一機と渡辺美里のスーパーオフショット」に、加山さんが11月9日にゲスト出演されました。その内容をレポートします。

渡辺)この番組は、私達がお会いしてお話したいスーパーな方をお迎えする、トークセッションプログラムです。

小堺)お迎えするゲストは、今年デビュー50周年を迎えられた、永遠の若大将、加山雄三さんです。

渡辺)居るだけで元気になりません!?

小堺)そう!?

渡辺)永遠の若大将。

小堺)僕はちょっと背伸びですけどね。憧れっていうか、
「わあ〜、大学生ってこんなに楽しんだ」とか、明るい若者っていう
ものが、はっきり出た初めてじゃないすかねえ。変に「青春は苦悩だ!」とかいう前の「若さって素晴らしいんだ」っていう時代ですよね。
日本もきっと元気だったんですよ。とにかく憧れの人ですよ。ああいう人になりたいなあみたいな。

渡辺)どれだけの人が思ったか。今日はその若大将に、「若大将シリーズ」の話を伺えたらと思ってます。

”若大将シリーズ”

小堺)やっぱり、加山さんは日本の音楽シーンを牽引してきた、変えてきたという自負はお持ちでしょう?

ない!俺はただ、音楽が好きで、カルフォリニアサウンドだとかさ、エルビスの歌とかさ、後にはビートルズとかさ、そういうものをコピってるというか、アメリカンポップスのようなメロディを作りたいなと思って作っただけでさ、たまたまやっぱり出逢いだね、これは。
岩谷時子さんていう素晴らしい方と出遭って、それからもう一つは「若大将」って映画と出遭って、田中邦衛さんという素晴らしい人と出遭って、その映画の中で、歌を歌うチャンスがもらえた、これが大ヒットにつながっってるわけだよ。あれねえ、映画がなくて何もなかったら、あんなもの全部消えてると思うんだ。イレースされてると思うんだ、俺の曲なんか。それが映画というメディアで物凄く広がったというか、取り上げられたと言う風に思うと、それはやはり導きだろうなと。
やっぱりだったのかなと思うし。

渡辺)その時代の夢のような、こんなだったらいいだろうなと思う存在感ですよね。

小堺)そうねえ!?

渡辺)だってえ、お家がすき焼きやで、「ただいま!」って言ったら、おばあちゃんが居て、

小堺)「雄一、肉マンがあるよ!」(飯田蝶子さんのものまねで)

渡辺)それもそうだし、学校で、好きなことをやって、海に山に、その時代の同じ世代の方たちのみならず、みんなの憧れですもんね。

藤本真澄さんというプロデューサーがね考えたことは、30年先の日本の若者の夢を、ヒーローとして描きたいとそういうことだったと思うんだよね。30年先だから、今から15年、20年前のことになるんだけど。それを考えてみるとすごく進んでたし、それを超えるくらいのヒーローが沢山いるじゃない。もう若大将なんてもんじゃないわけですよ。世界のトップに立つ、イチローが、松井さんにしてもそうだし、ヒーローがいっぱい出てきてる。10代で世界のレベルに達する人たちが出てきている。
50年前だったら、ただただ、ヨーロッパのアーティスティックなものに憧れ、経済的にもそうだから、やる気のある人間が、いっぱい居た。日本中がそうだった。そうするとその先にある、夢のようなものを映画にしたのが、若大将シリーズだと思うし、谷村さんなんかは、京南大学へ願書を出そうと思ったと言ってたけども、でもあんな楽しい学園生活じゃないしね、楽しい部分もあるけど、あんなに楽しくはないだろうって。スポーツやりゃあなんでも優勝するなんてないし、あんなに女性に、もてる男もそういない!?

渡辺)モテモテですもんねえ!?

あんな馬鹿な話はない、現実の人生じゃ、そんなにもてないのをわかってるからさ。

小堺)わかってる方がやるからいいんですよ。

そんなこたあねえよ。

”加山さんの高校生時代”

小堺)慶応で”軟派だ”って言われるのが嫌だから、丸坊主にした。

そうそう、”軟派だ”って言うよりもさあ、家庭教師がさあ、
「高校生になったら大変だなあ、女の子にもてて」って言うのを
ちょろっと聴いたんだ。

渡辺)えっ、先生がそんなこと言うんですか!?

小堺)もてると思ったんですよ。

そんなこと言うんなら、「よ〜し、わかった!?」っと思ってさ。

渡辺)一人の先生の言葉にムカっときて、坊主にしちゃうなんて!?

それも囁きだろうな。天使の囁きか、悪魔の囁きか、それが聴こえちゃったのが、良かったと今は思うけどね。丸坊主でさ、それこそ本当に女性の”女”の字もないよ!?気が無い。
行くのは、おばあちゃんと山に登って、大雄山っていう山ですよ。
修行に行くんだよ。

小堺)修行に行くんですか?

そう、座禅を組む。寝泊りしながら、朝3時半に起きて、境内の掃除から、若い僧侶と一緒になって掃くの。飯食うときの、上手いのといったらないの。それも精進料理なんだろうな、もうちょっといろんなもん出してくれよっていうくらい、少ないの。飯だけは、お代わりしていいっていうから、飯だけ5,6杯食っちゃった。

”東宝映画”

渡辺)ねえ、加山さん。あのころ、観て、これ松竹の映画だなとか、これ東宝の映画って観ただけでわかって。東宝って明るくて楽しくて、インテリアいつも新しいんです。若大将の部屋なんて、今みてもカッコウいい。

そうかね。

小堺)オシャレなの。

渡辺)いわゆるミッドセンチュリーって言われて。

小堺)お父さんたちには、植木さんたちがいて、「サラリーマン、頑張ろう」、若者には加山さんがいたんです。

もっと小っちゃい子にはゴジラがいた。

渡辺)なるほど、みんなヒーローだ。

”若大将シリーズ#2”

渡辺)ファンクラブの集いかなんかで、10年くらい前かな?ハワイに行くことがあったんですね、バンドのメンバーの小さい娘さんが
「ねえねえ、お父さんお父さん、夢のハワイはいつ行くの?」10年前でも言ってたくらいだから、加山さんの映画の時代なんて、夢の夢のまた夢のハワイですね。

そう、その映画だって、本当は一本だけだと思ったんだからね、俺は。
「大学の若大将」の次に「銀座」へ行ったろ!?
その次にすぐにさ、「日本一」になったからさ、これでもうおわりだなあと思った、そしたら外へ出ていっちゃったからね。結局は17本。「歌う若大将」を入れると18本になんだけれどね。まあそれだけの若大将をさ、まさかやるなんて思ってもいないよね。

小堺)それも全然思ってもいないことですか?

そうです、まったく。ただ人気が出た、
「ああそう、もうそれじゃあやるしかねえなあ」って、
「よかったね」って言う感じで。

渡辺)「若大将」っていうふうにつけたこと自体がすごいですね。加山さんにピッタリの言葉で、今もピッタリというのがすごくないですか?

これはね、昔「若旦那シリーズ」というのがあったんですよ。「旦那」じゃあまずいなあってなって、「大将」にしちゃえって、藤本真澄さんが「大将」にしたんだ。そういった経緯があるわけ。

小堺)「青大将」の命名も藤本さんですね。

そうですね。

”ビートルズ&Eプレスリー”

小堺)時代とピッタリ合うというのは、みんなそこを目指しているんですけど。例えばビートルズもそうでしょうし、ビートルズをみて、日本のみんなが触発されてやったのも。
おんなんじことやってても、出てこれない時代もあるじゃないですか、それがピタっと
合っちゃうというのは。

時代がね。何年か先の事を考えて、やってるぐらいのが受けるっていうかさ、全部同じところに立ってたんじゃだめなんだよね。
だから、ビートルズの彼等の音楽性っていうのは、あの当時では、ずば抜けて違うコード進行をしてるんだよ。そして独創性がものすごくあるんだよね。だから若者が飛びついたわけでしょう。それでそれに、世界中が追い風になったっていうか。
エルビスも、やっぱりちゃんと下積みの歌を、教会でコーラス隊に入って練習してたから、下積みがあったわけだし、そういうものをちゃんとやりながら、彼の音楽に対する情熱をドンドンドンドン先へ先へと、黒人の中で生まれた音楽のリズムに乗って、カントリーっぽい音楽を乗せてって、そういうのが段々出てきてロカビリーがすごく受けだしたじゃん。そのときに、とにかく見た目がカッコいいじゃん。エルビスの場合にはね、ギリシャ彫刻みたいな顔しててね。

渡辺)ちょっと憂いがあって、カッコいい、でもどっか寂し気で、ちょっとすねたような、母性本能をくすぐられる感じですね。

”高齢化&先見性”

渡辺)加山さんのお父様の時代とかは、全然違う世界の人たちが銀幕のスターって言われて。

そりゃあそうでしょう、映画の時代とテレビの時代の違いだよね。これがいわゆるネットの時代になってくると、もっと違ってくるかも知れないよね。レコードだってCDよりもダウンロードでやるのが1/3占めはじめたじゃん。それってドンドン変わってくるし。
これから高齢化社会っていったって、低年齢の人が高齢になるわけだから、その人たちはみんなコンピューターやってるわけだから、
そっちの方向へ行くってことだよな。

小堺)加山さんて、歩いているスタンスが、ビートルズを例えにしてらっしゃいましたけど、加山さんも先見てますよねえ。今、目先のことというよりは、ちょっと先の展望をやってる感じがするんですけど。

それはね、夢ばっかり頭の中で考えるからだね。
こうなったらいいなとか、それはもしかしたらやっぱり先の事をどうしても
考えざるをえないよね。

”アラン・ドロン”

小堺)太陽系の太陽は加山さんとして、銀河もいろいろ太陽系に近いものが発見されてるじゃないですか。地球と言うのは、すごく絶妙な位置にあるんで命が生まれたという、そろそろ太陽系がどんどん増えるといいですね。地球みたいなとこに、偶然居た人がいっぱいいると、加山さんみたいな人がいっぱい増える。

この銀河系だけで、2000億個あるんだぜ、太陽が。
だからそれはもう、1兆個ぐらいの地球みたいな星があるんだな。

小堺)話が大きいんだよ。

話だけだよ。

渡辺)ハワイの若大将のヨットを動かしている加山さん、アランドロンみたいでしたもんね。今、「太陽がいっぱい」で思い出したんだけど。多分カメラ撮ってる人は狙って撮ってるかもしれない。

狙って撮ってるに決まってるじゃない。あれも完全にコピーだよ。

小堺)それだって、観てたときに、波乗りの映画で、波乗りを習ってやってる人と、出来た人が「いいよ、撮って」この違い。
だから、スポーツやってた人を撮ってるから、すごいんですよ。

「波乗り」っていうのがいいね。俺たちの時代は波乗りだったんだよ。

「ビリーブ」(渡辺美里)が流れます。

小堺)加山さんがデビュー50周年、美里さんが25周年、

渡辺)半分です。

小堺)半分だって、すごいことですよ。

渡辺)あと25年先に、あんな風に素敵でいられる人がいるんだと思ったら、もっと頑張んなきゃって思うし勇気が湧いてきます。

小堺)ぜひそう願いたいもんでございます。

”社長のコーチング”

小堺)経営者の顔も持つ加山雄三さんにも、社長をコーチングするという、新しいそういうものに対して、どういう考えをお持ちか、お聞きしました。

まずはね、いろんな情報を集積しながら、それをね、人に伝達する能力、説明できる頭脳を持ってなきゃいけないことと、それから、人望というか人に好かれるタイプにならなきゃいけないということと統率力、最低限それがなきゃあだめだし、未来にたいして、どういうふうにしていくかというアイデアも、人から聞きだす能力があること。
会社の社員がいたとすると、今の状況を説明する。
意見も聞きながら統率して、方向性を決めていく、方向性をフレキシビリティに操縦できる、操縦能力だね。
飛行機でもそうじゃない、CAと操縦士との違いがあると思うんだよ。社員がCAで、全体を操縦して責任を持っているのは社長だと。ということは、機長とおんなじだと思う。

小堺)加山さんが社長だったら、誰も文句は言わないでしょうねえ。

渡辺)この人と一緒に仕事をしたいと思う人が、この人に付いていきたい思える人がいる会社っていうのは楽しいですよね。きっとね。社長じゃなくても、普段の私達の仕事っていうか、普通に生きていく中でも、必要な能力だと思いません?

小堺)そうですねえ。、要するに人間の幅とかということに最後はなりますもんね。それを使える立場とかいうことじゃなくて、持ってたほうがいいことですもんね。リーダーシップでも行動力でも決断力でもね。

渡辺)よし、小堺さん、二人で社長になろう!?

小堺)加山さんがコーチしてあげればいいよね。

渡辺)ほんとほんと!?そういう学校を作ったらみんな来ると思う。

”編集後記”

小堺)今日の加山雄三さんとのトークセッションでは、言わずと知れた日本の映画史に残る「若大将シリーズ」のお話を伺いました。
「若大将」っていうのは、「ワン&オンリー」で、加山さんですよね。若者の理想を、ちょっと先を描いていたんだよと。
僕、今日、
わかったことがある、加山さんみたいに生きてる人は、若いときは若者の理想になるし、今は今で、今の人たちの理想になるんですよね。ず〜っと理想な人なんだよ。だって、若者の理想だったけど、すごいことを平気でやってらっしゃるから、自分でわかってないんですよ。ず〜っと理想なんだもん。若いときに若者の理想にはいられるかもしれないけど、会社員の理想、お父さんの理想、リーダーの理想に、加山さん、ずっとやってんだもん。

渡辺)絶対、若大将、もてましたよね!?

小堺)もててないって言ってたけど、嘘です!?はっきり言います。嘘ですよ!?もてないわけないじゃないですか!?

渡辺)そうですよねえ!?

小堺)冗談じゃねえよ!?嘘つくなよ!?(青大将の真似で)

渡辺)青大将が怒ってます!?

10年11月15日新設