「トークショー 日野皓正さん」
お誕生日おめでとうございま〜す。と自分で言いながら、加山さんが登場されました。
今、テレビ見てたら、アッコが言ってた。「昨日は私の誕生日で、今日はお兄ちゃんの誕生日だって。」
8日の50周年を祝う会にも来てくれてて、ステージに上げたんだけど、「”僕の妹に”を聞いてたとき、お前泣いてたろ」って訊いたら「うん、泣いてた」って、それが映ってたね。
サプライズで、法被を身にまとって、再度出てこられた日野さん。
今日は楽しい一日になるんじゃないかと思ってます。
ゲストとして、日野皓正さん登場。加山さんがトランペットの口真似でお迎えされました。
日野)おめでとうございます。
ありがとうございます。
友だちが控え室に来ていて、さっきまで話していたんだけど。ところでお前、
今日のゲストは誰だって?本人がすぐそこにいるのに。年をとってきてだいぶ危なくなってきているから。
彼は、個展をひらくようになったんです。
日野)コテンコテンですよ。
陶芸までやりだして。さっきお茶飲んでたら、いい湯のみだと思って、裏見たら「日野」って書いてあるの。
50周年を祝う会にも来てもらったんだけど、どうだった。
日野)素晴らしかったですね、最後の奥様とのシーンが良かった。
あれ(新曲”ハーモニー”)、いい曲でしょ?
日野)曲はまあまあ。夫婦愛っていうの?ああいうのがいいですね。
今日は奥さんどうしたの?
日野)教会で、お祈りがあって来られないんです。
尼さん?
日野)ええ、よく潜ってるんです!?
司会者)お二人のお付き合いは古いんですか?
もう35,6年くらい前ですよ。僕の曲をカバーしてくれた。その中でも「クレージードライビング」が合ってたね。
そして、スイートベイジルへ1回出たのが、仇になって。
こういう人と一緒にいると、普段と全然違っちゃうの。
歌も歌いますとか言って、「マンハッタン・トランスファー」みたいだって言うんだけど、俺は聞いてて「マッタン・トランスファー」だって思ったの。それから、彼はどこでも、「加山さんが”マッタン・トランスファー”って、言った」って言ってんの。
日野)ボイス・トレーニングに行ったんですよ。カラオケで練習もしてたんですけど、あれから止めました。
今日はスイート・ベイジルの常連さんもそこにいらっしゃるけど。
トレーニングして上手くなったら、歌ってもらおうと思ってる。
日野)音感はいいんだけど、喉の声帯が上手く声を出せない、トランペットはただ、フーっと出してるだけですから。

「座・ロンリーハーツ親父バンド」がBGMで流れる。

ザ・ヤンチャーズ。メンバーが凄い。
「加山雄三と七人の侍」ですよ。6月4日の武道館コンサート、一般販売即日完売。一人ひとりが、一万人のコンサートをソールド・アウトできる人ばっかだから。

日野)皆さん、カッコイイですよね。タップ・ダンサーの僕から見ると、谷村さんの動き、ほんとにカッコイイ。
へえ〜!?そう?
「ハーモニー」とカップリングになってます。昔はA面、B面という風にしてましたけど、そういう考え方はねえだろうと、両方ともA面扱いでやらせてもらいたいと。
「君といつまでも」は「夜空の星」、「夜空を仰いで」は「旅人よ」。最初、「夜空を仰いで」が何週間かトップだったんですよ。途中でひっくり返ったんですよ。
日野)僕も松田聖子の曲を作曲して、そんなことがありましたよ。
「マッタン・トランスファー」とは思えないよ。

画集を見ながら
木の根元のところの、反射した光というのは、自慢できるなあという出来栄え。(「月曜日のハワイ」について)
これまでも、画集のタイトルを書いてるんだけど、今回初めて行書で書いたんです。
日野)ギョウショってなんですか。行商?
俺は絵を売って歩いてるから!?もう、どうしようもないねえ。
近藤先生がぼくの先生なんですが、その先生が出来上がったのを見て、唸っちゃった。花瓶の素焼きしてあるものに、描いていくときに、普通の紙だったら、楽に描けるんだけど、この場合はゆっくり描いてると吸い込まれて墨が無くなっちゃう。一筆書きができない。難しいんです。その難しさを克服して先生に褒められた。

日野)大胆でいいですね。
これ、石・・・。読めないよ。(日野さんも読めなくて、司会の女性に)読めますか?ざくろだよね。
司会者)そうです、ざくろです。
陶板に描いたの。豆板醤じゃないよ。
日野)これトウバン(陶板?豆板?)じゃん!
この人はね、自分のトランペット吹いてる姿を一筆書きみたいに描くんだけど、その絵が素晴らしい!
観に行ったら、奥様と二人の二人展やってるの。奥さんのがいいの!
日野)加山さんは、ぼくの奥さんのしか買わないの。ぼくのは買ってくれないんです。
お値段が奥さんの方がちょっと安いから買ったの。それは全部、船(光進丸)で使ってる。
日野)僕も使ってます。奥さんから買って使ってます。
司会者)え、奥さんのを買われてるんですか?
それはね、(奥さんの)やっぱり売上になるからですよ。奥さんが素敵なんです。スーザンって言うんです。
僕のかみさんも、英語名がスーザンなんです。ぼくはデービットって言うんです。スペクターと一緒だ。デーブ・スペクターは加山雄三に憧れて日本に来たって知らないでしょう。だから彼の最初の芸名は”スペクター・雄三”って言うんだよ。ぼくに会うためにフジTVに入ってきて、仕事を始めて、最初は全然日本語喋れなかったんだけど、今じゃどっちが母国かわからいくらい上手いもんね。だから才能というのは、どこで開花するのかわからない。
日野)信ちゃんの絵、凄いねえ。
なぜ、彼の作品を出す気になったかというと、今年、彼が初めて描いたんだけど、(絵を)観て仰天しちゃった。
西嶋先生と言う、僕の絵を最初から見てくれている絵の先生が、絵を見て、「加山さん、タッチが変わりましたね」って。「よ〜く見たら、名前が違ってましたね」って、僕の絵の評価は何もないんだけど、「あの〜、息子さん、将来楽しみですね」って。
日野)息子さんを褒めるという事は、加山さんも褒めてるんですよ。
締めるときは締めるね。
クリスチャン・ラッセンみたいなタッチのや、感性が必要だと思うんだけど。感性はいいと思う。見てると感性の塊だもの。
老人ホームで紙と鉛筆で絵を描くことによって、脳に信号を伝達することによって、呆けの進行が遅くなってる。だから、絵を描き始めるのに遅すぎるということは絶対に無い。絵は心で描いていたら、どんな絵でも上手いと言える。
写真のような絵を描くきっかけになったのは、かみさんを連れて、メトロポリタン美術館に、ダリやピカソの若い頃の展覧会を観に行った。そしたら、二人とも写真のような絵を描いていた。ピカソもダリもこんな絵を描いていたんだ。ダリ(誰)もしらないと思うけど・・・。
日野)言おうと思ったこと、言わないでくださいよ。
それで、かみさんがね、「ピカソって、ほんとに絵が上手かったのね」って言った。あ、そうか、素人というのは写真みたいな絵を描けば、上手いと思うんだなと思った。
日野)作者によっては、こんな色使いはないわけですからね。写真より超えてます。素晴らしいですよね。バランスも。
絵というのは、飾った部屋の一つの装飾でしかないんだけど、絵を置くことによって、そのバランスが良くなることが絵の大事な役割だということをピカソが言ったんです。
日野)宇宙ですね、頭の中に宇宙がある。
宇宙ね、だから、あんなトランペットのわけのわかんない絵が描けるんだね。俺にしてみれば夢中になって描いてるんだけど。

司会者)日野さんは、次のご予定があるということで。
教会でお祈りでもするの?
日野)協会のほうは脱退しましたから。
協会?なんだよそれ。
日野)日本音楽家協会というのが、あるんです。
へえ〜え、まあいいや。
日野さんはあっさり退場されました。
ほんとに帰っちゃうの?

腑に落ちない感じの加山さんでしたが、司会者の「加山さんには、もう少しお話をお願いしたいと思います。」という言葉を受けて、会場に残り、今回の写真集を撮影された、写真家の田沼さんが登場されました。
何枚撮ったの?

田沼)約2万5千枚くらい、撮りました。

2万5千枚、でもね、決してフィルムがムダになるわけじゃないんだよね。今はメモリーチップに保存できるからいいよね。昔だったら大変だよ、フィルム代がどうなるかって。いらないものはどんどん消していけるし。
田沼)そんなに消してないですよ。加山さんの自然な姿がどんどん撮れていくんで、捨てるものはなかったです。

と話していると、突然、トランペットが鳴り響きます。「座・ロンリーハーツ親父バンド」をジャズ風にアレンジされて吹きながら50周年を祝う会の法被を着た日野さんが、入場。
曲は途中から「ハッピー・バース・デー」に変わり、会場全体で大合唱になりました。「バース・デー・ケーキ」も登場、「73」の文字のロウソクも。加山さんがロウソクを吹き消すと、改めて、会場から「お誕生日、おめでとう!」の大合唱が起こりました。
このサプライズに加山さんも大感激の様子でした。
本当に、感動した。なんで、さっさと帰っちゃうのかと思ってたら・・・。たいしたもんだねえ、いろいろ考えるねえ!
そして、トークショーの始まる前に、お客さんが書いた寄せ書きが司会の女性から、加山さんに渡されました。
ありがとね、素晴らしいね。ほんとに嬉しいですよ。73になるんだけど、いろんな誕生日がありましたけど、4月8日の祝う会と合わせて、忘れられない、一番大きな幸せをもたらせてくれる催し物でした。50周年という、新しいスタートをみんなが祝ってくれた気持ちというのを、ほんとに大切にしたいと思います。これからも、よろしくお願いいたします。
日野)新しいCDを聴いて、コピーしてアレンジしてきたんです。
皆さん、わかりました?
「座・ロンリーハーツ親父バンド」をアレンジしてくれたんですよ。
やっぱり持つべきものは悪友だよ。
とガッチリ握手を交わすお二人、心なしか、加山さんの瞳が潤るんでおられるようでした。ここで、
司会者)本日ご来場のお客様の中で、プレゼントをお持ちの方は、今直接、加山さんにお渡しいただきたいと存じます。という呼びかけに、M・Mさん、K・Kさん、Sさんが、ショートケーキをかたどったデコレーションを渡すと
これは食べられるんですか?飾っておくのね、どうもありがとう。
と加山さん。そして”barbie”さん、”matsu”さん、”栗っ子”さん、”camel”さんも続き、他にも大勢の方が渡すことが出来ました。全員に丁寧に「ありがとうございます」と声をかけられる加山さん。Aさんは、いろんな会場で集めた寄せ書きを渡します。
Aさん)みんなからの寄せ書きです。
みんなって誰?
Aさん)その他大勢です。
その他大勢!?
会場大爆笑でした。コンサート会場やケネディハウスでファンの皆さんに書いてまらったそうです。
みんな、ありがとう!素敵なことやってくれたなあ!
日野)あの、これチャリティかなんかないんですか?この法被オークションしましょうか?
そういうこと言わないの。ほんとにありがたい、誕生日のビッグ・イベントになったよ。ジーンときたよ。
日野)ジーン・トニック?人徳っていうお好み焼きやがありますよ。
光進丸へきて、お好み焼き作ってくれよ。
日野)ぼくは作れないですよ。光進丸といえば、前に行ったときに、ウチのかみさんが、オムライスが好きだっていったら、加山さんが「オムライス」のレシピをくれたんです。
奥さん、作ってくれた?
日野)まだ、上手く作れる自信がないみたい。
と最後まで、マイペースの日野さんでした。
加山さんのオヤジギャグに、イスから転げ落ちて「いらっしゃい!」と叫んだりするなど、今回も大サービスでした。

 終わり。

10年04月30日新設