「ラジオ深夜便」

  NHKラジオ(5月3日)

5月3日に、NHKラジオ第一で放送された、「ラジオ深夜便」に加山さんがゲスト出演され、「ラジオと私」というテーマでお話されました。第二部の内容をレポートします。

聞き手は須磨佳津江アナウンサーです。

 ラジオと私

須磨)そうですかあ、今回テーマが「ラジオと私」なんですが、そういった映像の世界で仕事されるようになると、ラジオとは少し疎遠になったりしませんでした?

とんでもないですね、僕はやっぱり音楽が好きなもんですから、音楽情報を手に入れるためには、手段を選ばないっていうくらい、洋物だったら、FENを聴くんですよ、それで知ったのが「ベンチャーズ」の「ウオーク・ドント・ラン」っていうのが流れてるんですよね。日本ではまだ流行ってなかったですよ。

須磨)流行る前ですか!?

これ、面白いと思って、その時に自分でラジオの番組持ってたんですよね、そこでメッチャクチャかけたんですよ。

須磨)大ヒットしましたよね。じゃあヒットさせたのは加山さんが最初!?

いやいや、自然になると思いますが、偶々そこで割合と頻繁にあれして。僕も真似して、エレキを。エレキブームが始まる直前でしたからね。

須磨)若大将シリーズで「エレキの若大将」もありましたよねえ。音楽もやってらしたしねえ。

NHKのラジオっていうのはず〜っと継続して聴いていられるから、間が途切れないからいいんですよ。えへへへへ、わかりますよね。だから僕は大好きで。昼間であろうが、ニュースももちろん定期的に聞くようにしてます。

須磨)それは音楽じゃない番組も聴いてるってことですか?

もちろんそうです。聴いてます。特にニュースが一番多いですけどね。その当時はですよ。

須磨)そうなんですか、小さいときのお話を伺ったんですが、今の加山家でもラジオは常に聴いているんですか?

だいぶ変わってきてますね、もちろんラジオを聴くことはあるんですが、FM系にいっちゃってますね、みんな。ステレオでちゃんと音楽が聴けるということもあるんだろうと思うんですけど、でも聴いてるのは聴いてます、あいつら。

須磨)ラジオ離れもあると思いますが。

好きなやつをダウンロードするみたく録音しちゃって、聴いてるんですよね。今はいろんなところからダウンロードできちゃうようになっちゃったんで、必ずしもラジオを使っているかわからないんですけど、「ポッドキャスト」っていうんですか?

須磨)ああ、ありますね。

インターネットでダウンロードするっていうのも親しみやすくなってるんですけど、音楽というものをどうやってやっていくかと特集でこういうものを流すということで、それが年代ごとなのか作者ごとなのかって、そればっかりを流しているチャンネルというものがもしあったら、絶対夜中もそのまんまずっと聞いてると思うんですよ。アメリカはみんなそうなんですよ。カントリーならカントリーばっかりの曲、それからロック系ならロックだけの、クラシックならクラシックだけの曲と横分けになってるんです。

須磨)チャンネルごとに。

チャンネルごとです。それが細かくいっぱいあるんですよ。で、田舎の方へ行くとほとんどカントリーなんですよ。驚きますね。

須磨)でも、好きな人には堪らないですね。

テレビまで、ケーブルテレビはみなそうですよ。日本でもポップス系ならポップスだけを流せるそういうチャンネルが出来たらいいなあと思うんですよね。

須磨)専門チャンネルですね、加山雄三チャンネル!?とか。

うふふふ、つまり音楽をジャンル分けしたやつで、細かくきっていくというか、それが出来たらそれをずっと聴いていたい人はそれを聞くし、聞き分けるときチャンネルをピット回せばクラシックになる、でも同じNHKっていうならいいなあと思いましたものね。あとね、僕ねラジオ放送劇が好きなんですよ。ラジオの良さというのは、広がるんですよ。例えば小説読むと自分で読んでるときにその主人公の顔とかね、姿、容姿からシチュエーションが全部頭の中で想像するじゃないですか。例えば「マジソン郡の橋」なんかその中の素敵な二人っていうのを描くでしょ、ところが実際に映画になったらガク〜っとですよね。

須磨)ちょっとイメージが!?

あれ、違うよう!?なんてね、それと同じ現象がラジオの場合起きるんですよ。放送聴いてるとその中に入っていって映像が自分で出来てくるんじゃないですか。

須磨)自分がディレクターなりプロデューサーになってるみたいな。

ところがテレビというのは見てるから、もっと大きなスケールなのに箱の中で収まってるじゃないですか。だから劇場行って観た方がいいなあと思ったりすることが良くありますね。ところがラジオの場合は広がる、広がる!?好きなだけ広がるんですよ。「日曜名作座」、僕、大好きですからね。森繁さん、僕大好きなので。俳優さんとして大変尊敬したわけですが、「加山君ね、なかなか君はいいよね、少し東北弁で訛ったほうがいいんじゃないかね」(森繁さんの声色で)東北弁で二人で話したりすること多かったですから、「日曜名作座」はず〜っと聴いてましたからね、必ず。

須磨)テレビとは違った魅力がありますね。

もう全然違うんですよ。想像がワァッと出来るっていうのは嬉しいですからね。

須磨)お父さんがラジオを好きだと、お子さんも感化されて好きになりますよねえ。奥様も?

この頃いつも「ラジオ深夜便」をいつも聞いてるじゃないですか、カミサンが早く寝たい時に、「音少し小さくしてくれ」って。「オレなんか、点けっぱなしでも寝るけどなあ」って言うんですが。

須磨)そろそろ音楽もおかけしたいんですが、せっかく加山さんが来ておられるので、加山さんの曲を聴きたいと思います。

ありがとうございます。僕が今自分でも不思議な体験をした曲なんですが、今の一番人気が「旅人よ」って曲なんですよ。うちのお袋がこれを聞くと「あんた、この「旅人よ」って曲いいねえ、わたしゃあこれ聴くと凄い不思議なんだけどチベットを感じるんだよね。なんだそりゃあって思ってたんですよ。お袋が亡くなりまして、今から20年くらい前だと思うんですが、千日修行されたお坊さんと同席してお食事を共にする時間があって隣に座ったんですよ。「加山さんの「旅人よ」という曲はよろしいですなあ」と「ご存知ですか!?」「いやあよく歌いますねえ、あれを歌うたんびにチベットを感じます」こりゃあ不思議だなあと思いまして。

須磨)お母様と同じことを、打ち合わせもなく。

関わりはまったくないわけですから、それで僕はとっさに、「もしかしたら僕は前世はチベットの修行僧だったんですかね」
「そうかもしれませんね」真面目におっしゃったんでね、面白いなあと思って。そんな思い出のある曲なんですけどね。

須磨)これは造られたのが昭和41年ですね、この歌私も大好きです!

コーラスがワイルドワンズですよ。

須磨)では「旅人よ」加山雄三さんです。

「旅人よ」が流れます。

 

10年05月19日新設