「ラジオ深夜便」

  NHKラジオ(5月3日)

5月3日に、NHKラジオ第一で放送された、「ラジオ深夜便」に加山さんがゲスト出演され、「ラジオと私」というテーマでお話されました。第一部の内容をレポートします。

聞き手は須磨佳津江アナウンサーです。

 空 襲 警 報

須磨)この音楽が流れている、つまりこの番組が流れている頃っていうのは、空襲警報があったりとかいろんなことがあったんでしょうね?

そうなんです!なんかね、ウヤンウヤンウヤンって凄いコールの音がするんですよ。「関東地区、関東地区警戒警報発令」って入るんですよ、すると「警戒警報」だからまだいいやとかね、そのうちにね「関東地区、関東地区空襲警報発令」になるともう「B−29」がやってくると、艦載機が飛んでくるとか、そういう状況になるので、ちょっともう親父はヘルメットかぶって緊張してましたね。

須磨)皆さん逃げるとか。

防空壕に入るんですよ、空襲警報が鳴ったら防空壕に入るんですよ。それから灯火管制がありますね、電気を消すんですよ。裸電球がぶらさがったところには、風呂敷みたいなのを被せて下だけに明かりを、そこでなにかをやると。そういう状況下でもって爆音を聞くんですね、遠くに、と親父が「あれは、「B−29」だな」と。

須磨)音だけでわかるんですか?

わかるんですよ、戦闘機だった場合には、蚊が飛んでるみたいに高いんですよ、ところが「B−29」になると、エンジンが4っ着いてるせいか凄い重厚な音ですよ。それが1機だけ偵察でやってきたりとか、それが藤沢を目標に来たりとか、そういうのが段々わかってきて、平塚には工場があって、そこが空襲を受けたんですが、帰りにどうも茅ヶ崎で灯りが漏れてたところがあったらしくて、茅ヶ崎にも落としていったんですよね、ところが、そのとき北風がもの凄く吹きまして、全部海岸へ落ちたんですよ。

須磨)よかった!?

もの凄くラッキーだったと思いますが、その焼夷弾の落っこちてくる音が凄い、雨のような音がするんですよね、ザーっていう。それ、今でも耳についてましてですね、家は南の方だったんですが、家には落ちなくて、道路とかその辺の広いところに落ちてるときに、ブスっていう刺さるような凄い音がするんですよ。

須磨)音がするんですか?

それで「シュー」っていう、今から考えると花火が「ピャー」って出るみたいに、焼夷弾というのは爆発と言うよりも、油を流して日本の家屋は木であるということを想定して燃やそうということらしいですよね。あと海岸の方へ行ったら、不発弾がそのまんま散らばらずに、散らばるようにベルトでもって何本も入ってるんですよ、後ろにプロペラのようなものがついてるんですね。それが空中でベルトが外れて、バラバラと散らばっていくみたいなんですが、散らばらずにそのまんま落っこちたやつが砂のへこんだところに落っこちてるんですよ。そういう時代でしたからね。

須磨)ドラマを見てるような気になりますけど、現実なんですね。

そのときにちゃんとラジオが防空壕の中にも置いてあって、その状況が流れてくるわけですよ。

須磨)つまりラジオっていうのは、ほんとに情報源として大事だったんですね。

ほんとに重要な役割を果たしていたですね。それとやっぱり音楽が流れてくるから、良く聴いてましたよね。家の人間みんなラジオを付けっぱなしにしてたからね。

 

10年05月19日新設