役者 加山雄三
三枝)黒澤先生の「赤ひげ」、とか「椿三十郎」も出られましたが、大監督に認められたから、演技は光るものがあるからということじゃないですか。

それはね、最初にお会いした時に、
「お前は白紙でいいよ」って言われたんですよ。「余計なことはするなよ」と。それでわかったのは「全部色は俺が塗るんだから」と。キャンバスは真っ白にということを言いたかったんだなっと。台詞を覚えようとしたら、「思えばいいんだよ」

三枝)台詞は覚えて言うんじゃなくて思えばいい。

頭へ入ったら、「思えば出るぞ」と。すごいでしょ?秘伝ですよ。黒澤監督は、変な話ですけど、引き出しをたくさん持っていらっしゃる役者さんが、引き出しから出すと怒りますねえ。
「そんな芝居を見たくてやってるんじゃないんだよ!・・・。考えなくたっていいんだから」ってすごい勢いで怒った。

三枝)世間一般では、加山雄三さんは、加山雄三さんの、若大将のイメージがあるから何やっても加山雄三さんやみたいなことがあるかもしれません。私は「乱れる」の加山雄三、「椿三十郎」の加山雄三、「赤穂浪士」の加山雄三。全然違いまっせ。

それぞれのいろんな役をね、こなせなければ役者ではないと自分で思ったので、それこそ殺し屋の役で「狙撃」なんていうのもあったしただ、総称してどうしても加山雄三だなぁと、若大将じゃなくて、加山雄三だなと言われると嬉しい。森繁さんがそうだったから。
で、僕は森繁久弥さんに大変憧れて、ああ、あの味はいいなあっと。そういう役者さんになりたいと。

三枝)どっかに、個性ということですか?

そうですね。Jウェインがそうですよ。いろんな役やるけど、どれ見てもJウェインでしょ。Cイーストウッドもそうですし。

 

2012年02月02日新設