トーク その3の1
 
「海その愛」を救った女性
 

実はこの「海その愛」と言う曲ですけど、自分で作った曲の中で捨てちゃった方の
曲だったんですよ。

谷村)どうして、捨てちゃったんですか?

捨てちゃったというよりは採用されなかったのね。アルバムで曲が足りないって
なって、探して出したのが「海その愛」なの。だから詩のチカラというのは、どれ
だけすごいかということ。岩谷さんが亡くなられてものすごく寂しいんだけど。
岩谷さんが言ってたのは、”加山さんのメロディーを聴くとねひとりでに詩が出て
来るのよね”って仰った。これ、すっげえ嬉しいんですよね。メロディーメーカーで
メロディーしか出来ない人間にとって、その音を聴いたら詩が出て来る、こんなに
光栄な話は無いでしょう。まさか、あんな大曲になるとは想像だにしてなかったんで。
岩谷さんにこうやって手を合わせて、本当にありがとうございました。って。

谷村)告別式で加山さん、「海その愛」歌われてた。

やっぱり自分のここに一番きてるから。

2013年、97歳でこの世を去った作詞家岩谷時子さん。作曲家加山雄三の最良のパート
ナーとして多くの曲に歌詞をつけました。
別れの時、加山さんが歌ったのが「海その愛」。お蔵入りになってたこの曲を救って
くれた岩谷さんへ込めた万感の思い。

谷村)実は岩谷さんに、”加山さんの作品に詩を書く時にどうしてますか?”って
   尋ねたことがあるんです。そしたら岩谷さんが、あのチャーミングな表情で
   ”加山さんの、お写真を机の上へ飾って見てると自然に浮かぶのよ”って。

へぇ〜え、そう!?

谷村)岩谷さんて加山さんに恋してるんだなあって思って。なんかすごく羨ましくて。
   加山雄三、岩谷時子って運命で出会った二人なんだなあって。

僕はね本当に思うんですよ。彼女はね予知能力があるんじゃないかなと思ってる。
全部で僕の曲149曲も書いてくれてるんですよ。

谷村)そんなに!?

1969年の12月に出したアルバム「美しいヴィーナス」の中に「追いつめられて」と
いう曲があったんです。「追いつめられて お前と二人 知らない街を歩いてる」
という。それ、おかしいなあと思った。その頃いろいろあった。それで70年になっ
て会社が倒産したじゃない。

1970年、加山さんが出資していたホテルが倒産し、多額の負債を抱える。デビュー
以来スターとしてまっすぐに歩いてきた加山さんにとって不遇の時でした。

俺、アメリカへ逃げちゃった。それでカミさんと結婚した。そのあとに知らない街を
歩いてる、追いつめられて。お前と二人。すごいと思った。帰ってきてね、食うもの
も無いからカミさんのお母さんがやってたカウンター割烹で飯を食いに行くわけだ
二人で。そしたら酔っぱらったお客さんから”加山雄三じゃないか、お前がこの前
作った「落ちぶれ果てて」って良い曲だな””「追いつめられて」なんですけど。”
”同じようなものじゃないか”って。半年前に予言してたような曲じゃないですか。

人生の試練を乗り越えて
 

谷村)今の話を聞いてて加山雄三って僕等のイメージの中ではいつも光を浴びてて。
   その裏側で辛かったのを聞くこと無いじゃないですか。

死に物狂いで頑張らなければいけない、それこそ死んだ方がマシだと思うくらい実に
危険な状況。会社が倒産するしね。だけど自分で蒔いた種なんだ、自分がちゃんと
それをしっかりと受け止めて、それに立ち向かって自分で頑張るしかない。逃げたら
ダメだ、と思えてね。時化を思い出すんですよ。波がドカーンと来てる時に、今、世
の中からドカーンと来てるなって。自分で船で出てるんだから自分の責任だから最後
まで命を持って頑張って港へ帰ろう、その精神と同じような気持ちを持って。受け
止めて立ち向わなければ絶対にチカラは(身に)付かない。

昔から言われてる言葉に「越えられないハードルは与えない」神様はね。よし、これ
は絶対越えられるんだと。それで逃げないでいると、.そのチカラが付くんですね心
の中に。
それを船に例えるとね、小さな船には、こんなん(小さな波)でも大騒ぎする。でも
大きくなればこんなデカイ波でも平気で走る。その大きさって心だなと思う。ねっ!?
心がまだ成長してないような小さい状況で試練とか困難とか辛いこととかに、ぶつから
なければわからないわけよ。ぶつかってすぐに逃げたらそれっきり。二度とそこへ出て
行かれないことになってしまう。それを全部受け止めて行って、もうダメかなという
時に、フっと助け船が出てきて助けられるということが何度あったか。

谷村)逃げなかったからプレゼントをもらえるんだ。

もらえるんだよねえ。

ここまでの内容を映像でお楽しみください。(時間 6分16秒)
下からどうぞ。

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トーク その3の1
 
 

2024年1月11日新規作成
2025年5月29日更新