大沢悠里のゆうゆうワイド その1の2
(TBSラジオ 2月15日)

大沢)光進丸は造ったの?

設計です。大学を出てからの船というのは全部設計だけです。それが自分のやりたか
ったことなんですよね。それを趣味でやっちゃったとこういうことです。

西村)船を造りたいというのが一番の夢?

造船技師になりたかったんですよ。それが夢だったんで本当に商船大学へ行こうかなあと思ってたところ、友達が来て
「お前はちゃんとした就職するよりも、親父の跡を継いで金儲けして自分で船造れ」
その一言でこうなっちゃったんですけど。

西村)その一言で東宝に入社して俳優さんになってお金貯めて船造ろうって。

大沢)銚子沖まで流されたっていうのは?

良く覚えていらっしゃいますね。
ほんとに間抜けなことをやりましたけどね、学生時代。

大沢)三日ぐらい?

そうです。漂流しました。

西村)それは一人で乗ってらっしゃって?

たった一人で。燃料だけは十分積んでたんですが、エンジントラブルを起こしたんですね。全然かからなくなってしまったんで、自分で直すしかしょうがないんで。
洋上で部品落っことしたらどうしようとか、時化たらどうしようとか、心配しいしい
やってたら日が暮れて。食べるものも飲むものも無くて。

大沢)いくつぐらい?

大学生ですよ、2年ぐらいですね。丸三日ですね。

西村)途中時化たりしませんでした?

これがものすごくついてて風が吹かないんですよね。喉が渇くは、腹が減るはでね。
これはヤバイゾ、ヤバイゾと思いながら。とにかく直さなくちゃってバラバラにしたんですよ。一つ一つ部品を洗ってもう一度組み直して。バッテリーもあがっちゃってるんで、手動でかけて。三日目になって、これでかからなかったら俺はもうダメかもしれないなあと思いながら、思いっきり引っ張ったら、バァ〜ってかかって。
これは生き残れるって。かなり東に流されてるというのはわかるんですよ。陸地がはるかにかすかに見えるんですよ。とにかく陸へ近づいていって見たら、銚子沖みたいだった。これは調子ッパズレだったなと。
だんだん千葉県のほうに入っていって東京湾を横切った時には、もうしめたもんだと。また故障するといけないから、ほどほどにって感じで飛ばして。茅ヶ崎の海岸へ来た時にはジーンときてね。これで水が飲めるって。
陸に猛スピードで乗り上げて、ヨタヨタと家へ帰って。「水くれ!水くれ!」って。

大沢)上原 謙さん、ビックリしたでしょうね?

親父は居なかったですからね。お袋が
「あなたどこ行ってたの?」って言うから。
「いやあ漂流してた」
「馬鹿だねえ」って、それで終わりですよ。

大沢)SOS出すやつ無いの?

無いです、何も持ってないんです。羅針盤すら無いんですから。

大沢)それも加山雄三さんの今日(こんにち)を支えて来てる強さがあるなって
   思いますよ。

これは良い経験ですね。それからは絶対水は積んでおかなきゃだめだって。

大沢)もう一つ聴きたいのは、臨死状態になったというのが聴きたい。

それは注射のショックでね。19歳の時ですけどスキー場で高熱が出たんですね。
今で言うインフルエンザなのかどうかわかりませんけれども、暮れの27日ごろだったんですよ。国体の予選があったんで、それに絶対に出場するために赤倉温泉に居たんですよ 直してもらおうと
「医者呼んでくれよ」って頼んだら若いお医者さんが来てくれて
「静脈注射しておきましょう」って注射打ってすぐに帰っちゃったんですね。そしたらものすごい身体が痺れてきたんで、変だなと思って仲居さんに
「手を揉んでくれ」って。一生懸命揉んでもらってたんです。そこへお袋が帰ってきて 「あんた、何やってんのそんなとこで」って言うから
「いやあ手足が痺れてよう」って 
「何よ若いくせに」ってものすごい馬鹿にしてるんですよ。
ところが胸が痺れてきて、ろれつが回らないっていうか舌が細く固くなっていくというか、顔に皺がよってくるというか手が内側向いて、あれって思ったんですけど。
「おかしんだよ、おかしいんだよ」って言ってたら(お袋が)
「あんた何やった」って聞くから
「お医者さんが来て注射打ってもらった」
「まさか抗生物質打ってもらったんじゃないでしょうね?」言ってるうちにガーンとなって暗〜くなって。顔ひっぱたいてくれたんですけど、それがだんだん遠くなってきてかすんで見えなくなっちゃって、声もどうにもならないっていうか。
一点眼の中にポチっとあるんだけど しばらくたってからプワ〜と開いたと思ったら
いろ〜んな色が出てきてお花畑みたいになって、なんだろう、俺このまま死んじゃうんかな?って。しばらくたったらいきなり身体がポっと温かくなってきて、そのうちに人の顔が見えてきて
「あっ心臓が動いた」って(周りが)大騒ぎしていて、我に返ったらみんながワンワン泣きながら
「良かった良かった」って。

大沢)何分間ぐらいですか?

3分間ぐらいだと言ってましたけどね、心肺停止になってたんですね。

大沢)その時はどんな気分なんですか?

まったく暗闇になっちゃって。最初はものすごい苦しいです、怖いです。細胞が死んでいくみたいな、その恐怖たるやとんでもない。その状態から少し明るくなっていろんな
色が見えた時に、今度は良い気持ちになってくるんですよ。

大沢)半分死んだ状態になってたんですね。

酸欠による窒素酔いかなんかになってるんじゃないかと思うんですけど。俗に言う臨死体験だと思うんです。でも臨死って!?死んだわけじゃないんで。

大沢)放っておいたら向こうへ行ってたかも。

 

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今回は、ここまでです。次回「その2」をお楽しみに!

2016年03月10日新設