黒澤監督との出会い

阿川)黒澤明監督に出会ったのは、いつですか?

こういうすごい人が居るんだって。黒澤監督は
世界的な人で、すごいんです、あの人は。

阿川)何がすごかったですか?

感覚的にものすごい鋭さを持っていて、心の底
まで読まれちゃうんです。みんな神様だとか
天皇だとか思われている。

だけど僕は最初に会った時に、
「加山、お前は白紙でいいからな」って、言われて。引き出しをたくさん持ってるようなのは嫌いなんです。
「加山、セリフはな、思えば出てくるんだ」
「はい」そういう会話なんですよ。俺は何も考えなくていいんだなっと。本読みから着物を
着てちょんまげ結って、本身の刀を横に置いて読み合わせる。刀が良く切れるんです。
木をスパーってやったらバサって切れた。やっぱ本身はすごいなと。
そしたら小道具がすっ飛んできて。
「馬鹿野郎、刃こぼれ起こすだろう!」って怒ったら、後ろから監督がダ〜っとすっ飛んで
きたと思ったら小道具さんに
「余計な事言うな!、こうやって覚えるんだ!」って。その小道具さんが怒られてるの。
「お前はいいよな、好かれてるよな」。
撮影をやってたら、すごいことはいっぱいあったんですよ。癌で死んでいくシーンを監督が
演技をつけているんですよ。監督が向こう向いて、ここに藤原鎌足さんが寝てるわけ。
僕はこっち向いて。ずっと演技つけてる。
「そうじゃないな、口をちょっと開けて,下顎呼吸というのは」って、やってるわけ。これ
もう退屈ですよね。懐に知恵の輪を持ってたのを引っ張り出して、そっとこうやってたら

阿川)知恵の輪で遊んでいたんですか?

そう。音はしいないですよ。見える訳ないですよ。監督がね、
「加山、気が散るから止せ」って。どうやって見てたのか、後ろに目があるのか。すっごい
ビックリしたですよ。そういう人ですよ。
空気を読むのか、それがすごく思い出として残ってますね。

阿川)お父様の撮影した加山さんの赤ちゃんの頃の映像と共に、この曲を。

そういう感覚をね、世界的に通用するものを持っ
てる人が居てそういう世界だと。じゃ俺も頑張れ
ば何とかそこまで行けるかもしれないと思った
だけですけど。それで続けることにしたんです。

阿川)演技について褒められたことは?。

演技は全然褒められないし。
そのままでいいよ、って。

阿川)最後まで、そのまんまでいいよって。

 

ここまでを動画でお楽しみください。期間限定で掲載します。

(動画掲載終了しました)

 
 

 

2016年10月15日新設