伊集院光とらじおと      
(TBSラジオ 3月14日10:05〜10:40)

 3月14日に放送されたTBSラジオ「伊集院光とらじおと」に加山さんが
 約30分間ゲスト出演されました。その内容をレポートします。

 音源の掲載は終了しました。悪しからずご了承ください。

上田)本日のゲスト、加山雄三さんは神奈川県出身の現在79歳。俳優上原謙さんの長男として
   生まれた加山雄三さんは1960年映画デビューすると翌年から出演した若大将シリーズで
   一躍スターになり、自ら作曲した主題歌「君といつまでも」は、350万枚の大ヒットと
   なりました。さらにギタリスト、ピアニスト、画家など多方面で才能を発揮。現在も
   ライブイベントなど精力的に活動を続ける加山雄三さんが本日のゲストです。

伊集院)ここからはゲストをお迎えしてゲストにまつわる○○とについてお話伺います。今朝は
    加山雄三さんをお迎えしました。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。ご無沙汰しておりますが。

○19歳での臨死体験(デイリースポーツのWEB記事参照方

伊集院)そう、昔ね、ゲームの番組でゲームの話をしたんです。僕が高校生の時に加山雄三さんが
    ラジオに出てて、昔を振り返って、「僕は10代の頃に1回、3分間死んでるんだよ。
    だから、それ以来何も怖くないんだよ。」って。滅茶苦茶な話じゃないですか。

ああ、そういうことね。なるほど、本当ですよ。注射のショックで。抗生物質に反応を示す子だと
言われてたんだけど。スキー場で風邪ひいて、早く治さなきゃいけないってことで、注射を打った
のがインターンだったからチェックもしないで打った。そうしたらそのまんま硬直して心臓停止
して、大騒ぎになったけど、3分かどうか知らないけど生き返ったという。

伊集院)未だに覚えているのは、自分は些細なことで学校に行きたくなかった時期に
    「僕は何も怖くないんだ」って言ってて。

絶対どんなことがあったって死ぬもんじゃないって思ったね。怖いなんてもんじゃない。自分が
ここから居なくなってどうなるんだ?って。暗〜くなってって。クラクラってなるんだよ。その
怖さと恐怖心、細胞が死滅していく恐ろしさ、寂しさ。

伊集院)すごいのはね、そのラジオを聴いたのは今から30年くらい前なんだけど、今のみたいこと
    言ったんです。細胞が1個1個死んでいくという。

覚えてるの、すごいねえ!

伊集院)覚えてて、それがいま再生されるわけ、自分の中で。リンクするわけ。1回死ぬと思った
    わけで、そのあとあっはっはって笑って、だから何も怖くないんだよねって言ったのが
    すごい印象に残ってる。ちょっと死んじゃったのは何歳の時ですか?

19歳。

伊集院)そう考えると19歳で死んじゃったかもしれない。1回死んだ人が80(歳)になる。どんな
    気持ちですか?

まあね、どうなるんかなと。なんせ初めての80(歳)だから。わからない。昔思ってた80(歳)と
全然違うね。昔80歳というと杖ついてヨボヨボと言う感じがあったけど今、全然違うね。

伊集院)ほんとに世の中に居る80歳ってほんとそうですよね。

ねんな若くなったんじゃないですか。

伊集院)加山さんはその中でも、ちょっと若すぎなんです。

過ぎてる?過ぎたるは猶及ばざるが如しだと弱るよね。不思議な話だけど、15歳の時に家へ超能力者
みたいなおじいちゃんが来て、家のお袋だけに予言したんだよ。
「あの子は19(歳)で死ぬよ」って言ったんだ。それでお袋は大騒ぎして、
「どうしたら良いですか」って。
「これは運命だからしょうがない。」
「なんとかしてくれ」って嘆願したら
「数珠をあげるから、一日たりともこれを手放してはならぬ。19(歳)になるまで毎日祈りなさい」
と。祈ったらしいんだな。それで俺が心肺停止した時に、数珠があったのを思い出して俺の首に
かけたんだって。そしたら蘇生したんだって。

伊集院)なんかすごいですね。急に思いつきで聞いてるのにも関わらず。

朝からほんとにすいませんねという感じですけど。蘇生している時にだんだん温かくなるんだ。
遠くの方で
「あっ、心臓動いた、心臓動いた!」って。いっぱい人が見えてきてなんだこりゃって思ったね。
全部鮮明に覚えてる。お袋はワンワン泣きながら
「良かった、良かった」って、わめいているのが良くわかってさ。その時から自分が無になることの
恐ろしさ、ここに居るみんなと別れる寂しさとかね。そういうのが全部がいっぺんに来たから、俺は
どんなことがあっても自分で死ぬもんじゃねえって。俺は寿命を全うするためには、自然に任せて
一生懸命前向きに生きて行かなくちゃいけない。と、思ったね。

伊集院)すごくリアルなのは、僕らの想像する死ってね、痛さの延長だと、これの何倍痛いのが死
    なんだろうと思うけど、19歳でリアルなやつだから寂しさとか無になるってなんだっていう。

瞬間だけどね、すっごい怖い。俺、19(歳)で死んじゃうのか?って。どうしたら良いんだ!?
って言ってるうちにどんどん身体が硬直してきて手が内側に向いてくる。そのまんま全身が完全に
硬直した。舌が棒みたいになる。

伊集院)それがわかるんですか?痛みの延長で死を捉えていると痛いのは一瞬だから大丈夫という
    ことで、俺、自分で死んじゃうんじゃないかと思う。

そんなもんじゃない、全然。意識はさ、残ってるんだよ。

伊集院)細胞の最後の1個が死ぬまで?

もう究極の苦しみを味わいながら暗くなって、光が小さくなってずっ〜と遠のいて行くんだ。どの
くらいかわからないけど、すぐに温かくなったと思ったらいろんな色が出てきた。

伊集院)すげえ話だな。逆に言うと戻ってくる喜びみたいなのもあるわけだから。
    壮大なスケールの話ですね。

○映画と・・・

伊集院)自分らの知らない話を知ってる人にそんな話を聞きたいんですけど、一番聞きたいのは
    「映画と」という話で、僕は映画スターの時代を知らないんですよ。映画が全盛で、

       みんなが若大将シリーズ、次はいつで何があるんだろうと思ってるみたいのは。僕は
    テレビ世代なんです。あの時代の映画スターってどんな状況なんですか?

僕の場合は映画スターって言うよりも、スターだった俳優の子どもがその道を歩んで行くという
状況だから、大スターが落ちぶれていくのを見ているわけだ。そうするとスターになったって
どうせ落ちぶれるに違いないから稼げるうちに稼いどけって、そんな気持ちだったね。

伊集院)僕らの世代は上原謙さんは、加山雄三のお父さんは上原謙ていう人らしいねという世代
    なんです。加山さんの上原謙の子どもと言う育ち方を知らないんです。子ども心にスター
    っていうのは大変だなあというのを見ている?

見てる。どうせ、上がれば落ちるんだ。そのようなことを考えて妙に冷静にやってたつもりだな。

伊集院)そう考えたら、今二世タレントブームっていうじゃないですか?出てくるとアマチャンだ
    という言われ方をするじゃないですか、そうするとシビアな方を逆に?

そうですね、シビアですね。めっちゃシビアですね。売るために東宝がン百万てお金を積んで宣伝
をした。僕は下積みが無い。それがすごい辛くて。皆さんはどこかで芝居の練習をされてきた。俺
には芝居の経験が無いんだよね。2か月間滑舌の良い喋り方とかいろんなこと練習しましたよ。
ありがたいと思うけど、それでもやっぱり舞台をやって慣れてる人と全然違うじゃない。ドーンと
売れたら、いつ落っこちるか、竿の先に乗っけられているようなそんな気持ちだった。そんな不安感
で、いつやめたら良いのかとかね。

伊集院)何にも苦労が無いなと思ってましたが、ご本人はいろんなことの恐ろしさがわかってる。
    下積みが無いのはまずいぞとは思ってた?

そうですね、自分でこれからでも良いから努力しなくちゃダメだなと。若大将が始まった頃から、
いつやめたら良いかって、面白くないなって、そんあことばっか考えて。ところが若大将は1本か
と思ったら、2本そして3本目になって日本一の若大将になったからこれで終わりかなと思ったら
外出てハワイに行っちゃって。止まらなくなっちゃった。なんなんだ、これはって。

伊集院)そのころのペースってものすごいスピードでしょ?

年に2本づつ撮ったりしてたこともあるしね。でも、大きなきっかけになったのは黒澤明監督との
出会いですね。あの方は、こういう人が世の中に存在するんだ。すごい人だなと思った。人の心、
みんな読まれちゃってさ、全部読まれてる感じでさ。初めて会った時に
「お前は白紙で良いよ」って、下手な芝居をするな。
「セリフはな、思えば出るよ」と。ただ、それだけだよ。本読みから刀を持ってチョンマゲ結って
着物着て正座して読み合わせだ。それで読んで行けばだんだん頭に入るのは当たり前だろ?だから
覚えなくたって思えば出るようになるよ。そういう自然にやれということを盛んに仰ってて、すげえ
なこの人はと思って。椿三十郎から始まったんですね。

伊集院)「椿三十郎」は何の役でした?

9人の若侍の内の1人だった。映画としては、あれ最高だと思うね。痛快だよね。

伊集院)若大将シリーズとはアプローチも違うでしょ?

黒澤さんとこ入ったら絶対他の作品に出るな!と。これは暇でね。監督に言ったんだ。
「これ白黒ですよね?白黒だったら日に焼けても良いですよね?」
「ああ、良いよ」
「じゃあ泳いでも良いんだ?」
「ああ良いよ」
「ああ、やった〜!」仕事があろうがなかろおうと朝の5時半から海へ行ってサーフィンやって。
それでくたびれた頃に(撮影所へ)行くじゃない、撮影に入ったら寝てばっかり。

伊集院)その辺なんだよな、加山さんにしか許されない空気っていうのが。黒澤監督に憧れて、失敗
    したら切腹するくらいの覚悟で来るやつも居るわけでしょ。そんな時に白黒だから海入って
    も大丈夫ってビックリするでしょ?

まあね、とにかくいろいろとエピソードを作りましたね。どんなことやったって先生に怒られないん
だからよ。ということが多すぎたね。1つ有名なのは、本番中に寝てたことがあるんだ。9人の侍が
ずら〜っと並んでいるんだ。カメラがここなんだよ。俺がこっちで。(他の役者さんが)一生懸命
喋ってるんだけど、ダメだ、ダメだ、ダメだ、もう1回!って、やってんだよ。ず〜っと座って、
セリフが何もない。ものすごいライトを当てて端の方までピントを合わせようとしてるから、
スタートの声がだんだん遠くなってくんだ。しばらくして無の状態になったと思ったら、いきなり
小突かれて、助監督が
「おい、加山。お前今寝てたろ。」
「ああ、寝てた。」って言ったら、 監督が立ち上がってツカツカツカと来たから、ボカーンと
やられると思って覚悟してたら、
「加山、眠いのか?」
「はい、眠いです」
「加山のために30分休憩、表行って寝てこい」
それで、表に行って寝ようと思ったら全然寝られない。

伊集院)加山さん、映画の話ですげえ話なんですけど。考えられないですよ。CMのあと音楽の話も
    お聞きしたいと思います。

ここまでの内容を音源でお楽しみください。(音源の掲載は終了しました)

○うたと・・・

「蒼い星くず」(BGM)

伊集院)今バックにちょっと騒がしい音楽が流れているんですが、実はこれが加山雄三さんの
    「蒼い星くず」の、feat.ももいろクローバーZ.サイプレス上野、ロベルト吉野
    ヴァージョンという、3月8日にリリースされている「加山雄三の新世界」という
    アルバムで。聴かせてもらいましたけど、面白いっていうか。

上田)どれも音が楽しかったです。

伊集院)ある意味、若手が面白がって加山雄三さんをおもちゃにしてるじゃないですか。

それが狙いでね。もう好きなようにやってくれって。これで何か感じたら、その通りやってくれって。
大正解。

伊集院)普通、スターは80(歳)になるとね、いじらせてもらえない人の方が多いですよ。
    これ、楽しい?

楽しいなんてもんじゃないじゃないですか、最高でしょう?

伊集院)聴いてて僕も目茶苦茶楽しいですよ。

でしょ!?それがいちばん。

伊集院)もう1個、4月12日に「RESPECT KAYAMA YUZO」という、加山雄三さんの名曲を中堅
    どころがカヴァーするという。

中堅どころじゃないよ、みんな最高なスターですよ。

伊集院)なんかね、スターの系譜というか、2枚目の系譜というのが。こう歌ってくれというのは
    加山さんからは無い?

無い、無い、無い!全部自由にやってください、だよ。これが良いんだよ。それぞれやっぱり思いが
あるじゃん、その曲に。思い出があれば、こう歌いたいなとか。

伊集院)出来を聴くのは、どういう気持ちなんですか?

それはもう楽しみしかないよね。それで、出た瞬間にわかるじゃない。

伊集院)福山君も、もてる感じがわかると思うので聴いてもらいましょう。
    4月12日リリースです、「RESPECT KAYAMA YUZO」から福山雅治で「お嫁においで」。

「お嫁においで」

伊集院)福山雅治のものになってるんだけど、迷いがなく2枚目の歌を2枚目が歌ってる感じで
    すごいカッコ良いです。

ちょっと伸ばすとこ伸ばしたり、クセをつけて。気持ち良いんだよ。

伊集院)他にもいろんなメンバーがいて、1曲目の清志郎さん。

残念なことしたけど。「夜空の星」って、俺の一番最初の作曲の曲でね。14歳の時に作った曲を彼が
やってくれた。

伊集院)高橋真梨子さん、ベンチャーズ、憂歌団、井上陽水もあれば竹中直人さんまで。竹中直人
    さんは加山さんのこと、大好きですもんね。

一番最初に会った時、ビックリしてね、
「ぼく、こういうの集めてるんです」って。部屋中に散らばしたLPアルバムの写真を見せられて
「これ全部君の?」って聞いたら
「そうなんです(竹中直人の真似で)」。

伊集院)こういう話をしているのが心から楽しそうじゃないですか?

嬉しいからさ、そう、じゃ頑張ってって。今すごいじゃない。頑張ってるよね。LINEでやりとり
してるんだよ。

伊集院)それがすごいですよね。

今、NHKでこれやってますって、チョンマゲ結った写真送ってくるんだよ。俺もライブでロック
やってるのを送るわけよ。

○4月21日東京国際フォーラムでのコンサート

伊集院)加山さんすごいのは、映画とヒット曲の話だけでもいっぱいなのにさ、LINEから
    ヴァイオハザードまで、なんでもやるからね。そんな加山さんの生歌を聴いてくださいと
    いうことで、4月21日です。東京国際フォーラムのホールAで6時開場、7時開演。
    S席9,000円。すごいのはSS席は全部売り切れています。どんなライブに?

僕のいっぱいある曲を出来るだけ、たくさん歌わせてもらうんですけども、僕にも内緒で何か考えて
いるらしいんです。サプライズが。俺、ほんとにそれに弱いんだよな。全然教えてくれないんだ。
前に武道館でやった時に、これで終わりかろ思ったら「船長!船長!」って。誰だよって言ったら、
花持ってさ、なんだお前かって。名前が出てこない。近づいてきて、誰だっけと思ってて、あっ、
桑田佳祐!

伊集院)桑田佳祐は出るでしょう?

パニクッてるから出ないんだよ。

伊集院)基本、何があっても大丈夫。黒澤明の前で寝る人ですから。
       ということで時間いっぱいです。きょうのゲスト、加山雄三さんありがとうございました。

ありがとうございました。

上田)加山雄三さんにはAGFのコーヒーギフトをお持ち帰りいただきます。

お〜っ、すごい!

ここまでの内容を音源でお楽しみください。(音源の掲載は終了しました)

2017年06月01日新設