トークその1(カントリー〜多重録音)

おじさん)加山さんの歌が出てきた時、それまでの日本の歌謡曲、流行歌とずいぶん違うなあという
     印象があったんですけど。加山さん、元々クラシックを?

ウチの親父がクラシック、お袋が流行歌、民謡、日本舞踊もやっているから、三味線の方でしょ。
その間だから、どっちも理解できるっていうか、どっちも好きなんです。

おじさん)大学時代はカントリーですか?

カントリーに魅せられて、高校1年の時にスキー場に質流れのギターを持ってきたやつがいて、
そっから始まる。

おじさん)自分で作られるようになったきっかけは?

14歳の時にピアノを習ってたんですけど、練習曲みたいなのを自分で作って弾いてた。父親が
それを聴いてて、
「それ、何だよ?」
「これか?これは俺が作ったんだよ」
「ピアノコンチェルトが大好きだから、いつか作ってお父さんにプレゼントしてくれよ」って。
「ああ、良いよ!」。簡単に返事したね。後々ピアノコンチェルト作るんだけど、第一主題の
メロディーはその時に頭の中に出てましたね。ある時親父が
「小さい時にピアノコンチェルト作るって言った約束覚えているかい?」って、
「ああ、覚えているよ」
「進んでるかい?」って言うから
「何もやってねえよ」って言った時に親父の
「そうかあ!?」っていうガッカリした顔を見て、こりゃあやらなきゃまずいなって。そう
思ってやってね。

おじさん)お父様が生きている間に作られましたよね?

親父が77歳ぐらいの時に出来上がったやつをオーチャードホールでお客さんを入れて3楽章全部
レコーディングしながら演奏するから、来てくれって。森岡賢一郎さんに指揮をしてもらって
羽田健太郎さんにピアノをやってもらって。全楽章、聴かせて。

おじさん)どれくらいの長さですか?

全部で24分半ぐらいですかね。1楽章、短いんですよ。理由があって。「オーケストラがやって
きた」という番組に出てくれって言われて、オーケストラをバックに歌を歌うなんてとんでもない
って言ったんだけど、そんなことないからとにかく山本(直純)さんに会ってくださいって
言われて会った時に、
「ピアノコンチェルトを書いてるんですよ、まだ時間がかかるんで、それが出来上がったらと
思ってまして」って言ったら
「じゃあ、1か月あるから作っちゃって!」ていわれて。森岡さんに手伝ってもらってピアノの
部分だけは何とか俺がやって、1か月以内でやっちゃったんですよ。それで初見で弾けるのは
羽田健太郎さんしか居ないよとなって呼んだら、見るなりガンガン行っちゃって。山本さんが
「これ良いとこばっか取ってさ、まとめちゃったみたいだ」って。

おじさん)最初にぼくらが聴いたのは「恋は紅いバラ」ですが、実際に作られたのは?

「夜空の星」がピアノの練習曲ですよ。サビが全然違うんですよ。「君といつまでも」のB面が
無いって言われて、こういう曲がありますけどって聴かせたら、サビがつまらないから変えてよ
って言われて。ラテンのコード進行でサビを作ったものに、寺内タケシ君がアレンジしてブルー
ジーンズとレコーディングした。全然違うイメージになって。アレンジの力ってすごいんだなあ
って。エレキが好きだったから良いなあと思った。岩谷さんが良い詩をつけてくれちゃって。
あっという間に出来上がって。映画でも使われて。

おじさん)エレキ合戦のシーンで弾かれてますよね。「ブラック・サンド・ビーチ」もエレキ
     合戦で弾いてたということは、その時に出来てたんですね?

学生時代に作ったのが10曲ぐらいあったですよ。高校時代はカントリーで。後半にエルヴィス・
プレスリーが入って、ロック系になってくるんですよ。

おじさん)プレスリーはショックでした?

ショックというよりカッコ良いなあ、じゃあすぐ真似しようって。世の中で日本語で歌ってるのを
見て、冗談じゃないよと反発して完コピやってたんですよ。ある時に米軍基地の将校クラブにトラ
で出ることになって、カントリーミュージックとエルヴィスのを混ぜてやったら馬鹿ウケ!そこ
から自信つけた。日本のパーティーでも結構ウケた。それで小遣い貯めちゃ、スキーの合宿に
行ってた。そこんとこは若大将っぽいの。

おじさん)前に田波靖男さんが、ほんとに加山さんにインタビューして脚本に加山さんの生活を
     入れたっていう話をされてましたよ。無線を通して多重録音で放送したりというシーン
     が若大将でもありましたが?

高校時代にワイヤーレコーダーとテープレコーダーを使って合体するわけだ。

おじさん)ものすごく原始的な多重録音ですね。

多重録音の、はしりっていうか、ピンポンやって。だんだん音がザァーザァーしてくるけど。
大学に入ってからブラザースフォーが出てきて、それを真似て一人でやったらちゃんとブラザース
フォーになったんだね。これが嬉しくってね。

おじさん)シンガーソングライターとしての原点はワイヤーレコーダー、テープレコーダーだった
     ということですね。

 

期間限定で、加山さんの言葉の音源を掲載いたします。(掲載終了しました)

 

終わり

2017年06月01日新設