武田）福岡で、とあるコンサートが待っておりまして。なんと、その方は１曲目に出てこないで、
　　　私が出るんですよ。

水谷）鉄矢さんが前座ということですか？

武田）前座というか、１曲目なのよ。セリから上がってきて、お客がテッキリあの人だと思ったら
　　　クルっと振り返ると私だったという。

水谷）すごい演出ですね。

武田）そうなんですよ、それでも平気な人なんですね。いや、１曲目は・・・と言うんですけど、
　　　やってくれよって言うから。やったですよね。で、私が歌っていると、その方が突然現れる
　　　という。

水谷）面白〜い！？

武田）そっちをお客さんが見てるもんだから、真後ろから、その人が手を振りながら会場を。満杯
　　　ですよ。福岡で一番大きい劇場ですよ。3,000人近い。４段ある会館が満杯。１階のセンター
　　　から、その人がライトを浴びた瞬間、うわ〜っ！？で、歌い出すんでございますねえ。

（ＢＧＭ　「蒼い星くず」）

水谷）加山雄三さん！？

武田）加山雄三！、ごめんなさい、敢えて呼び捨てにしてしまいます。

水谷）盛り上がりますよね、これ！？

武田）そりゃあもう、どこから見てもスターですわね。お客さんと握手しながらは疲れるのよ。
　　　興奮したお客さんて、自分の方に引くんだよね。それを足腰にチカラ入れて踏ん張りながら。

水谷）体力使うんですね。

武田）使うんだよ。うん千人のお客さんが手伸ばしてくるところを、あの若大将、颯爽と歌いながら
　　　登場して来るんでございます。そしてセンターステージに着いて、スポットライトを浴びた
　　　若大将は観客にご挨拶をする。私は煙の内に消えてしまう。出た瞬間に何の役にも立たない
　　　もん。加山さんが出たら、もう用なしだよ。それで１曲歌い終わって第一声に場内割れん
　　　ばかりの歓声。加山さんは観客に向かって語り掛ける。加山雄三です！どうです、皆さん。
　　　若いでしょ？どう見たって、僕、81歳には見えないでしょう？どう見ても80歳ですよねえ。
　　　うわ〜っと笑う、3,000のお客が。そして、よおし、大丈夫だなあ、みんな。セサミン飲ん
　　　でるな！？と言いながら２曲目に入るんですよ。それを舞台袖からスタッフと見ながら。
　　　加山さんのスタッフすごい若いの。20代から30代前半の人ばっかし。その若い人たちと
　　　加山さんをボ〜っと見ている内に、長い付き合いになったなあと。なんて、すげえ年寄りだ。
　　　あっ、すげえ年寄り、ということで、池内さんの本の「すげえ年寄り」と重ね合わせて、
　　　すげえ年寄り、加山雄三を語っていけば肉厚に３枚におろせるんじゃないかと。こう思ったん
　　　だよな。

　　　終わり

ここまでの音源を期間限定で紹介します。

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２０１８年０８月３０日新設