武田)あれは高校3年生だったかなあ!?同じ学年の友だちが居て。そいつが12弦ギターを買ったん
ですよ。それで文化祭で歌おうって。同じ組の中牟田君と3人で。文化祭で「天使のハンマー」
を歌ったの。なんか気持ちよくてねえ!?休みの日になると公民館を借りて、歌を歌うん
ですよ。公民館の廊下側の窓を開けると、一面、麦畑で喉かなもんよ!?その麦畑を見ながら、
これ、ちょっとやってみようと、やったのが、加山雄三の新しい歌。あの時、胸の奥に風が
吹いたというか。あれは忘れない。自分が草原に立つ若者のような気がしてなあ。この歌を
夢中で歌ったんですよ。加山雄三、「旅人よ」。
○「旅人よ」
武田)この歌を歌いながら、憧れたねえ、加山雄三に!?映画の「若大将シリーズ」がスタートして
おりまして。その若大将は、ほんとに、我等もてない男の憧れの的でしたね。その人に三十一
か二の時に声をかけられて、番組で共演したりして。夢のようでしたよ。で、ある日のこと
でしたが、加山さんに叱られました。三十代の始めのことでしたが。とにかくスケジュールが
きっちきちに積め込まれる日々で。イライラしてたんですよねえ。それで、ここ、文化放送で
若大将とすれちがうんですよね。お前、顔が貧しくなったぞって。光進丸にお前を乗っけて、
時間を捨てに行こう。光進丸に乗って、若大将は、緞帳だよ。緞帳が上がるみたいに、陽が
沈んだと思った瞬間から水平線から星が上がってくるんだって。あ〜あっ。この人は、東経、
西経、緯度経度で遊んでる!?そう思わない!?こっちは角でしか、遊んでないじゃん!?
加山雄三は甲板で歌ってるんだろうな。星空の恋の歌を。
終わり |