SUNDAY PUNCH 「アーティストパンチ」   
(FM FUJI 6月10日 13:10〜 )      

「アーティストパンチ」というコーナーに加山さんへのインタビュー
(録音)が約34分間放送された内容をレポートします。

MCは、イマヤスさんと露木麻土香さん。

BGM 「座・ロンリーハーツ親父バンド」

露木)今週のゲストは、6月6日に、初の演歌シングル「嘘よ」
   そしてアルバム「演歌の若大将 Club 光進丸」を6月
   27日にリリースされます、加山雄三さんです。

イマヤス)よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

イマヤス)まさかFMFUJIで加山雄三さんに会えるなんてねえ。

露木)こんなに近くで会えるとは思っていなかったですけど。

イマヤス)やっぱ若いですよね!?

露木)変わらないですよね。

そんなに言わなくてもいいよ。

イマヤス)この番組で映画のコーナーもやっているんですけど、音楽
   もやってまして。どちらも先輩といいますか、日本映画の
   黄金期な時に。

黄金期というより、最後の方かな?

イマヤス)いや、そんなことないと思いますよ。黒澤監督とのお仕事も?

黒澤監督との出会いがあったんで、今でもここにいるという感じ
なんだけど。あの方に会ってなかったら、俺もう、辞めてたかも
しれない。それほど心、動かされるほどのグレートな存在でさ、
怖いけど。俺は怖いというよりも尊敬に値する、こんな人が世の
中にいるのか!?というくらい、優れた才能というのかな。

イマヤス)一番印象に残っている監督は、黒澤監督?

黒澤監督。

イマヤス)僕は、「独立愚連隊 西へ」が大好きなんですけど、岡本
   喜八監督の。

あれは面白いよねえ!映画は面白くなきゃあいけないんだよね。
「椿三十郎」も面白いよねえ。娯楽作品というのは、映画として
の役割だと思う。

イマヤス)黒澤監督や岡本監督の作品に出られたので、若大将シリーズ
   もあるんだなあと。インド映画は若大将シリーズをパクっ
   たんじゃないかと思うくらい本当のエンターテインメント
   だと思うんですけど。

あっ、そう!?どこをパクってるんだろう?

イマヤス)いきなり歌いだしたりするじゃないですか。急にシーンが
   変わってエレキ構えて歌ってるとか、あの唐突さとか。
   いきなりミュージカルになっちゃうとか。

俺もほんとはそういうの、嫌なんだよね。芝居なら芝居だけやって
ろよ!?って。歌なら歌だけやってくれって言いたくなるけど。

イマヤス)僕的には、あれは加山さんじゃなきゃ成立しないと思い
   ます。そのすごさだと思います。若大将シリーズの良い
   ところは。

良いヤツだね。

イマヤス)だから、「椿三十郎」もあって「独立愚連隊に西へ」も
   あって、それであの「若大将シリーズ」が出来るという
   振れ幅が加山さんの凄さというか。

東宝の映画会社としての大きさみたいなもので、余力があると
いうかな。プロデューサーもいろんな人たちが居た。

イマヤス)東宝を選んだわけは?

いくつか映画会社があったけど、株が一番高かった。俺は本当は
サラリーマンになるつもりでいたからね。

イマヤス)意外です!?

意外ですか?でも会社がしっかりしてるとか、伸びるとか。

イマヤス)音楽はずっと共に?

音楽は本当に昔からやってたからね。小学校の5年生ぐらいから
ピアノは習い始めて、3年間ぐらい。

イマヤス)3年間で、ある程度マスターした?

マスターしたっていうことでもないんだよ。怠け者の一番出来の
悪い生徒だったからね。先生が、来週までに、ここまでやって
おいてねというのを何もやらないからね。また、やりません
でしたね、はい!?っていう。全然ダメでしたね。

イマヤス)作曲は、その頃から意識してされてたんですか?

意識はまったくしてないんでね。中学2年の時に、面白い遊びを
やってたんだよね。ピアノのフックにブリキを細長く切ってハメる
わけさ。それを叩くとチェンバロやハープシコードのような音が
するわけ。

イマヤス)ピアノの音じゃ、なくなる?

使うところだけ全部ハメて、弾いてると静かなハープシコードの
音になってバッハの曲みたいになる。面白いからいろいろ弾いて
るうちに、練習曲っぽいのをなんとなく作って、遊んでたわけ
だよ。知らないうちにウチの親父が後ろに立ってて。なんだ、
その曲は?って聞くわけ。俺が作ったんだ。お父さんはピアノ
コンチェルトが大好きだから、いつか書いてお父さんにプレゼント
してくれ。ああ、いいよ、って。簡単に言って、馬鹿だね、俺は。
実際、何十年か後に作り始めて、親父が77歳の時にプレゼント
した。第一楽章の第一主題は、その時出来てた、頭の中で。

イマヤス)じゃあ、中学生の時にもう?

出来てた。メロディーがあったんだね。だけど、スコアなんて
わからないから、メロディーだけは作っていって。それにオー
ケストレーションしなくちゃいけないんだけど。森岡賢一郎さん
がクラシックを勉強されてたんだよ。教わってたんだけど、面倒
くさいから先生やってくださいって。

イマヤス)オーケストラアレンジも自分で、始めは、やったっていう
   ことですよね。

試みたわけね。

イマヤス)あれは全部の楽器を。

16段ぐらいあって、それが出来るのは、多重録音をやってたので。
一つ一つ重ねていくとオーケストラになるというか、出来たんだ
よね。それがすごく面白くてさ。譜面に書くよりも、音になって
入ってくる。それを譜面に書きましょうとなった時に書いてみた
ら違った。そんなんじゃ全然ダメって言われて。で、もう諦めて。
先生、これを譜面に起こしてください、って。それで、12年も
かかって作って。

イマヤス)でも、実際かかりますよ。多重録音の話もしてらしたけど
   今だったらパソコンですごい楽にできる、そういう時代
   じゃないですからね、加山さんの時は1個づつやっていか
   なきゃいけない。

2つテープレコーダーを使うんですよ。それとエミュレーターU
という機械だな。バイオリンの音を和音で出したり。ビオラに
なったり。

イマヤス)感覚が優れているというか、まずアイデアありきというか。
   閃きがすごいですね。

結局ね、音楽が家に溢れてたんだね。我々の時代には、あり得ない
ほど。お袋は演歌。親父はクラシック。両方とも聴いて育ったから。

イマヤス)だから振り幅が広いんでしょうね。

音楽の幅が広いのは間違いない。

イマヤス)ここで、加山雄三さんの曲をお届けしたいということで
   ございまして。

この時期になると聴きたくなる名曲。「海 その愛」、書いた
通りに読んでる、馬鹿だね、俺。ギターバージョンで聴いて
いただきたいと思います。

○「海 その愛」(ギターバージョン)

ここまでの音源を期間限定で紹介します。

下の「アーティストパンチ その1」をクリックしてください。

 アーティストパンチ その1

BGM 「嘘よ」

イマヤス)6月6日に、初の演歌シングル「嘘よ」をリリースされた
   ということですが?

シングルは初めてですね。演歌のアルバムは、むか〜し、あなた
がたが生まれる遥か前に出したことがあります。

イマヤス)演歌はお母様の?

影響だと思うんだけど。今でも、演歌はすごい好きですね。

イマヤス)カラオケへ行くと演歌ばっかり歌っているとか?

行くんじゃなくて、家とか船でやってます。1回ぐらいはカラオケ
ボックスに行ったことはあるけどね。友だちに連れてかれて。だい
たい自分のとこでやってる。あんまり大きな音だせないけど。1万
曲ぐらい入ってる、すごいのを会社がプレゼントしてくれた。

イマヤス)じゃあ、行かないで良いですね。

自分で買うのは、そんな高いものなんてと思うけど。いい会社に
居るねえと思ったねえ。

イマヤス)加山さんの曲、いっぱい入ってますから、それはもらって
   当然ですよ。

そういうことよりも、たくさん聴いていい曲を作ってくださいと
いうことですよ。

イマヤス)収録曲の「嘘よ」と「残り酒」、これ35年前ですか!?

そうなんだよ、これ、船でね、良く集まるんだよ乗組員が。夜に
なるとお酒飲むじゃん。宴会になっちゃうんだよ。その中で一生
懸命文章を書いてるやつがいる。なんだよそれ?読んだら、いい
詩じゃないか。これにメロディーつけるからさって。ギターで
一晩かかって出来ちゃった。

イマヤス)船でいい景色を見てて?

いや、部屋の中。雰囲気があったから、気分が乗ったのかもしれ
ないけど。それから何日か後にもう1曲出来たりとか。そいつと
組んでいっぱい作った。レコーディングされてる曲も2,3曲
あったと思うんだ。

イマヤス)どこで決めるんですか?この曲は演歌調にしようとか?

それは詩の内容ね。

イマヤス)じゃあ、詩が先で作ってるということですね。

僕の場合はほとんどメロディーが先なんだけど、そいつとやってる
時は同時にやってる感じですね。

イマヤス)作曲は、弾厚作というペンネームで。シンガーソング
   ライターとしても、目茶目茶早い段階でやられてますね?
   加山さんの時代って、作曲家の大先生が居て、その先生
   から曲をもらって歌うというのが主流だった時代だと
   思うんですけど。加山さんはそうじゃないですもんね?
   全部自分で作って。

学生時代に自分でやってて、すでに何曲か持ってたんだよね。
一番最初に作ったのが、後にロック系になって。編曲でこんなに
変わるのか!?って言うくらい変わったのが「夜空の星」で。
ピアノで歌ってた曲がエレキの曲になっちゃった。なんだ、
こりゃあ!?と。
(BGM 「夜空の星」)

イマヤス)初めはミディアムな曲だったんですね?

まさか、そんな方向へ行くとは、夢にも思わない。大学3年ぐらい
の時に、エレキでメロディー作って、英語で優しい詩を付けて作っ
たのが「DEDICATED」。
(BGM 「DEDICATDE」)
東宝に入って、プロデューサーに英語の歌はダメって言われて
たんだけど、「ハワイの若大将」の撮影でハワイのワイキキの
浜辺で、歌うシーンがあって、ウクレレで歌えって言われて
英語で歌っちゃったんだ。撮ってしまったんで、プロデューサー
も何も言えなかった。でも、この曲に日本語の詩を付けたらいい
と思った人が居て、岩谷さんを紹介してもらって、書いてもらっ
たのが「恋は紅いバラ」。それが25万枚売れちゃったんですね。

で、渡辺 晋さんから、加山君、これ、ものすごい良い曲だ。
コード進行も日本人が大好きな曲だ。これと同じコード進行で
いいから、同じような曲で、もっといいの、書いてよ。って。
1週間ぐらいほったらしてたんだけど。明日、締め切りって時に
ピアノに向かってたら1時間半ぐらいでまとまって出来た。譜面
も書かずにテープに録音したのをそのまま渡した。で、俺は撮影
で宝塚に行ってた。で、詩もカラオケも出来て、毎日放送のスタ
ジオで録音することになった。毎日放送の廊下を歩いていたら、
ここでレコーディングしたら大ヒットしますよって言われて。
それが、「君といつまでも」。
(BGM 「君といつまでも」)

イマヤス)放送局でレコーディングしたんですか?

すごい不思議だね。

イマヤス)それが「君といつまでも」ですもんね。

実数で350万枚出たんですよ。ちょっと自慢しちゃったなあ!?

イマヤス)渡辺 晋さんのお話、すごいですね。コード進行はカノン
   進行ですね。

良くご存じで。渡辺 晋さんはベースを弾いてたミュージシャン
だったんだ。だから音楽のことは相当詳しくて。

イマヤス)昔の芸能プロダクションを作られた方は、大体が音楽を
   やっておられる。

そう、音楽畑出身の人。

イマヤス)まさか、毎日放送で録ってるとは思わなかったですね。
   演歌の光進丸のアルバムが出るということですけど、今の
   お話を聞いてても幅広いですね。

そうですか!?

イマヤス)アルバムの宣伝のインタビューというよりも、加山さん自体
   のお話をもっともっと、それこそ6時間出来るくらい!?
   いろんな角度でいろんなお話が聞けますからね。

6時間じゃ収まらないと思いますよ。

イマヤス)そうですね、一か月、ぶち抜きでね。加山さん、凝り性
   なんですかね?

凝り性というよりも好奇心旺盛って言った方が良いかも知れない。
ものすごく物事を知りたい。今一番知りたいのが・・・。

(宇宙の難しい話で理解不能でしたので省略します)

イマヤス)普通、スポーツマンタイプの人はスポーツばっかりやり
   ますよね。加山さんて、そうじゃないですよね?オール
   マイティーですよね?

それは、映画だから、そうなったんであって。ただ好きで、いろ
いろなものをやってみただけの話で。ある程度までは、様になる
ようにやってきたけど。

イマヤス)きょうは非常に深い話が聞けたなあと。

露木)あっという間に。時間が足りないくらい。
(お知らせ 演歌シングル、アルバムの発売、若大将フェス、
 演歌歌謡コンサートの告知)

イマヤス)素晴らしいお話がいっぱい聞けました。
   ありがとうございます。

とんでもない。

イマヤス)もっともっと聞きたいですけど。この曲を聴きながら、
   お別れとしたいと思います。曲紹介お願いできますか?

加山雄三で「君といつまでも」を聴いていただいてお別れしたい
と思います。ごきげんよう。

○「君といつまでも」

ここまでの音源を期間限定で紹介します。

下の「アーティストパンチ その2」をクリックしてください。

 アーティストパンチ その2

2018年10月11日新設