アーティストとしての活動はいまだ現役。表現者としての情熱を
今も持ち続けているという。

関わる人たちが幸せに思ってくれることができるうちはやりましょう
よっていう気持ちを持ってますけどね。

俺なんか今、絵を描いてるわけね。最近描いたのは”波と富士山”。
それは西伊豆で波があって富士山が見えるっていう場所があるんだよね。
だからそういうのを思い出しながら。１ケ月に３回ぐらい、そういう週
を設けて。モチーフは色んなものがあるから何でも良いんだ。

あと、飯を食うのが非常に好きだから。ウチから歩いてそこら中に色ん
なものがあるからさ。180歩でもんじゃ焼きがある。220歩で焼き肉屋が
ある。それ（食への関心）は大事なことだからなって常々言ってるよね。　

海にまつわるこんな逸話も。

俺が茅ヶ崎に移動（引っ越し）したのは、ウチの親父がね、俺は体が弱かった
みたいで丈夫にすつためには海岸で育てるのが良いって。俺が印象に残ってる
のは素っ裸で泳がされて”どうしてパンツはかせてくれないんだ？”って。
みんなはいてるのに。しょうがないから海藻を腹に巻いてた。それが記憶に
あるよ。全身を太陽に当てて。(父親が）その方が良いっていう・・・。　

茅ヶ崎の生活で夢中になったのが。

大学を卒業するまでに８隻ぐらい作ったんじゃないかな。海にどうしても
出たい。あの島に行きたいって船作ったからね、自分で。それで大学に入っ
てからモーターボートを（作った）。すげえ勢いですっ飛んでいくわけだ。
烏帽子岩って島があるんだけどモーターボートで行ったら、ものの５分も
かからない。ダーって、あっという間に着いちゃう。

それを考えると、この海はね世界どこへでもつながってるなと。海を愛する
ことが世界を愛する、人々を愛することにつながるな、と。

もう一つ夢中になったのが。

（小学生の時）知り合いの家に行ったら、そこに足踏みオルガンがあったんだ。
そこのお嬢さんが弾いてるのは、すごくうまかったんだね。「うわーすごいな」
って見入っちゃって「何としてもそれを教えてくれ」って言って１時間あまり
で覚えちゃったんだ、俺。
それをウチの親父が聞いて「何とかして手に入れよう」って中古のオルガンを
手に入れてくれた。それを弾いて弾いて弾きまくった。　

船舶免許を取るために昭和の大スターを巻き込む。

その時、黒澤組の作品をやってたんだね。（船舶免許の試験）その日どうしても
休みにしてほしいから、三船さんに頼んで「三船さん一緒にいないと黒澤監督が
（休みの）ＯＫ出してくれないと思うんですけど、一緒に（船舶免許）受けま
せんか？」って言ったら「しょうがねーな」って。黒澤監督のところに行って
「お願いがございます」（黒澤監督が）「なんだね」って言うから「実は国家
試験を受けようと思ってどうしてもその日休みをいただきたいんです、三船さん
も一緒ですから！」って言って。「あぁそう」それでＯＫになって・・・。
それで三船さんと一緒に横浜（試験場）まで受けに行ったよ。三船さんは（試験
の解答が）やたら速いんだよね。サッサと終わって先に出て行っちゃった。
「えーっ」と思ってさ・・・。それでも（後日２人とも）合格してた。　

結婚し、負債を抱えていた加山さんを支えてくれたのが。

やっぱり腹を立てたり、どうにもならなくなって、庭に置いてあった石を引っぱ
たいて手が血だらけになることもあったけど。（妻は）よくぞこの俺について
きたなと思うよ。（返済当時）俺が作曲するんでピアノがないかなってことを
常々言ってて「それじゃ何とかしましょう」って。いつの間にか中古のピアノを
手に入れてた。ビックリしちゃったよ。「どうしたんだ？これ」って。「ん？
ちょっとなけなしの財布から出して買ったの」いやぁー大したもんだな。俺の
気持ちをよく分かってくれたなって、感謝あるのみだね。それで生まれたのが
「海　その愛」とかさ。色んな曲が出来たからね。

♪海　その愛

支えてくれてるその気持ちがあまりにも良かったからいまだに続いてるんだよ。
頭上がらないんだよ。　

加山さんが大切にしている「One　Word」。

関心、感動、感謝！”３カン王”と言います。人間はね、つらいこともあるし、
イヤなこともあるし、それをね、関心を持って物事に接することが大事なん
だね。やがて感動して最後にやっぱり、”ありがとうございます”って、感謝
する。俺はそれを常に心のどこかに置いてるよ、いつも。良いことがあった時は
おかげさまで。そういう気持ちを失わないで生きていこうと。それが目標だね。

俺、偉そうなこと言ってんな。　

○作曲　　○絵画　　○ラジオ

2024年５月２日新規作成