「安良里&校歌」    

そういうこともあって、光進丸で下田、わけない、羅針盤が付いてるから。
レーダーはなかったけど羅針盤がついてると随分違うんだよ。

どこかいいとこないかって、初めて安良里港に入った。こんないいところがあるんだなあって思って。

安良里港に錨を落として、疲れを癒すために一杯やるべえと思って。
メシを食ったあと、デッキにいたらドカーンって凄い音がするの。
ビックリして海面を懐中電灯で照らしてみたら、イルカがいっぱいいるのよ。

これはあとからわかったんだけど、そこにいる藤高の社長さんに
”ここはね、イルカの追い込み(漁)をやってたんだね”って、餌でもやったら、なついじゃうんじゃないかと思うくらいでした。

水はきれいだし、静かだし。それからは、毎年のように夏になれば必ず安良里に来てました。
それで今から20年くらい前になるかなあ。
ここはいいなあ、江ノ島追い出されそうなんだ。台風やなんかだと、しょっちゅう油壺に避難しなくちゃいけないし、県が管理してるから、どうしようもないなあ、金ばっかり取って。

その内工事が始まって追い出されちゃった。
そこで、ここへきて社長に相談して
”ここに置かせてもらえないかなあ?”
”ああ、いいんじゃあないかねえ、組合にちょっと話してみるかねえ”話してもらって、
”いいよ〜”って、そしてここへ置かせてもらうことになった。
社長は電気は引っ張ってくれるは、水道をひいてくれるは、電話線まで設置してくれた。

丘にいるのと同じ生活が出来るようになっちゃって、もうここは離れられない!

お世話になったから、社長に頼まれることは全部やらなくちゃならない。

まず、最初に俺が困ったなあと思ったのは。
小学校なんですよ、二つの学校が合併して賀茂小学校が出来た。
”新しい校歌を作ってください”
って言われて。
作詞作曲、小学校の校歌だったら、前に小机小学校と茅ヶ崎東海岸小学校の校歌を作ってるから、よし作ろうってことで、
作ったんですよ。
喜んでもらって歌ってもらってると思うんですよ。

ごく最近、下田の南校というのと北校という高等学校が合併する、
”なんていう名前になるの?”
”わかんねえ”、わからないのに校歌を作ってくれって。

今度は高校か、かなり、うるさそうだしなあ弱ったなあ。
本当に悩んだ、こんなに悩んだのは「サライ」以来ですね。
サライも24時間以内に作らなくちゃいけないってことで苦しんで、苦しんで。
苦しむっていうか、どこ行っても頭から離れないわけよ。
ギター弾いちゃ、ああでもない、こうでもないって何曲出来ちゃったかねえ、沢山出来た中からみんなに聴いてもらって、一番いいのにしようと思ったけど、みんなが賛成してくれるのがない。

作ってたイスから離れて、ピアノの前を通って自分家のトイレに行ったら
♪光輝〜く、下田の港♪って自分で鼻歌うたってるんです。
今のいいメロディだなあ、いいじゃあないかよ。
本当に苦しんで、ピアノの前からトイレへ行く途中ですよ、これは運がいいんだなあと。

そのテープあるんですよ、出来上がったやつをみんなに聴いてもらいたいんですよ。
作詞も僕やったし、よく意味が解らない校歌があるけど、そういうのは避けて、だからといってポピュラーソングっぽくっていうのはだめで、その間をとってというのが難しくって。

アンケートをとったんですよ、卒業して行く現役の高校生の注文はすごいねえ、”今風のがいい”とか、”わかりやすく”、”ハツラツと”とか、いい言葉がいっぱい書いてある。

みんな難しいんだこれが、全部入れようと思ってもそうはいかない。難しかったけどね、聴いてくれる?こういう校歌です。

(ピアノの゙前奏がながれた途端)
”違う、ピアノじゃなくてオケで作ったやつがいいなあ”
(校歌が流れたところで)
”校歌っぽいでしょ”
(テープにあわせて歌う加山さん、1題目が終わって終了)

はい、ありがとう、本当に苦労した甲斐があって・・・。
これは聴けば聴くほど耳につく、というのがいいと思うし。

こういう校歌っていうのは、大切なのは卒業して何十年か経って歌ったときに、ふるさとを思い出しながら、ジーンとくるというような曲じゃなけりゃいけないと思う。

中にはゆっくりの校歌もあるんですよね。
慶応の校歌って俺嫌いなの、凄いマイナーの気持ちになる。
卒業してから歌うのは応援歌の「若き血」なんだよ。
慶応の卒業者はわかると思うけど、
♪若き血に燃ゆる者♪
これは校歌じゃないんですよ。
応援歌!
校歌は静かでね・・・、???どんな歌だったか忘れた!

トークショーとは関係ないですが、加山さんをお楽しみください。

08年04月03日新設