セレモニー 挨拶
天候を心配しておりましたが、お日様も出て、素晴らしい天気になり良かったです。
今回は、油絵、水彩、陶芸そして書など全部で100点持ってまいりました。見ていただきながら、僕の奥の方にあるものを引き出していただけたらなあと思います。そして、上手いなあと言われるよりも、良い絵だなと言っていただけるのが作家として最高の幸せでございます。
セレモニーで挨拶をされている加山さん。
ぜひ、楽しんでいただければと思います。この長野で個展をさせていただくのは、初めてでございます。しかも、こんな素晴らしい会場でできることを心から嬉しく思っております。少しでも大勢のお客様に見ていただければと思います。
本日はありがとうございました。
「トークショー @」
宮本)お越しになっている皆さんにいろいろ質問をお伺いしました。

ああそうですか。

宮本)それを散りばめながらお話を伺いたいと思います。
まず、お昼は何を召し上がられましたか?

オックステールシチューと、ハムエッグとコンソメスープと他人が残したもの。昼は良く食べますよ。夜は抑えて、お蕎麦ですね。ここは、ずっと蕎麦ストリートなんですよ。この間、ここで「鴨蒸篭」を食べました。

宮本)加山さんというとなんとなく洋風なイメージがありますが?

おそば大好きです。

宮本)昭和12年4月11日生まれですから、73才なんですが、こんな73才っていないですよ。絵を描く、陶磁器を作る、書も、そして音楽でしょ。時間がいくらあっても足りないんじゃないですか?
一日はどんな風に使われているんですか?

昔は、一日が36時間あればいいなあって思ったことがありましたよ。それから、加山雄三が二人いたらいいなあって。
一人に仕事させて、休めたらいいなあとかね。今は結構ヒマはありますから、時間は作らないといけないから、有効に。

宮本)有効にお使いになって、今日ここに合わせて100点の作品がございます。どうでしょうねえ、すべて思い入れが深いと思いますが、敢えて一つだけこれがいいという作品はどれでしょうか?
(ちゃんと訊きましたよという顔でわたしを見る宮本さん)

それは難しいよ。一つ一つ全部思い入れがあるし。

宮本)ホラホラ、ね!?
(やっぱりでしょ!?という感じで私を見る宮本さん)

音楽もそうだけど、作曲は508曲だけど、レコードにしたのは280曲くらい。嫌な曲は歌わなきゃいいけど。
油絵の場合は、捨ててるのなんてなくて、いくらでも書き直せるから・・・。大変だったとか、いうのはありますけど・・・。どれか一つと言うのは・・・。
宮本)でしょ!?
(またまた、私を見る宮本さん、)
セレモニー待ちの加山さん。

人物というのは、非常に難しいですね、子供を描いたのがあちらにありますけど、それから、浜辺に人がいるのを描いたりしてますけど。人物の絵が上手くいったときはすごく好きですよね。

宮本)大勢で魚を釣っている絵がありますが、竿がしなっているんですよね、そして人間の表情が一人ひとり違うんですよね。
一瞬一瞬を描いておられるんですね。

そうです。人の動きのベクトルに気を使って描いた。
あそこに、二人の男女がいるのがあるんだけど、照りつける太陽の下で、
どう見ても日本人じゃないと思うと思うんだけど、外人のような髪の色だとか、波の色も日本の海とは違うんだけど。実は、遠くの方でウィンドサーフィンをしているのを見てるんだけど、それは描かなかったんです。
あっちにある波の絵は、佐渡ケ島の真冬の波なんですよ。写真集を出された方がいて、お坊さんなんですけど、波ばっかりの写真集を出されていて、それを見て凄い衝撃を受けて、これをモチーフにして描きたいと思って、直接電話したんです。

宮本)向こうの方ビックリしませんでした?

加山雄三と申しますといったら、間があって、
「加山さん?あの加山雄三さんですか?」って。
ご了解をいただいて描かせてもらいました。
出来上がってから、その絵を見に来られて、凄い出来栄えだという事で、手を合わせていただきました。

「ノイシュヴァインシュタイン」の絵を見ながら
宮本)、これはどの角度から観たんですか?

谷を一つ、越えた向かいの山から観た風景ですね。あっちにある絵とは見る角度が違う。全然違う顔になっちゃう。この角度から観たのが一番締まっていてかっこいい。これをモデルにしたのが、ディズニーランドのお城ですよね。

宮本)これはどこの国なんですか?

ドイツとスウェーデンの国境に近いところです。

宮本)写真を元に描かれたんですね。写真の大きさは?

小さいもんですよ。それを元に200号のものを描いたんですけど、大変でもう二度と描くか!って感じですよ。使う絵の具の量が全然違う。同じ色を大量に作らなければならない。じっくりは描けるんだけど、腕が痛くなる。ペンキやさんだな。
でも、出来上がってみるとまた、沸々と描きたいという思いが起こってくるんですね。
200号の絵が描けたら、プロとして認められるということも聞いてましたので、頑張って書き上げました。

宮本)これを描いた場所は?

ミュージアムの近くに、光進丸を預かってもらってる造船所があるんですけど、その造船所の三階に、型の原寸図を描ける物凄く広い場所があるんです。そこを借りて描いたんです。
さきほど、そこの社長さんから電話がかかってきてて、
「かやまさん、エンジンのね、クラッチボックスの油が汚れたから交換しておいたからねえ。」って伝言が入ってたから

セレモニー開始前の加山さん。
折り返しかけて「社長、ありがとう。」って言ったんだけど。
電話しながら頭下げてね。

宮本)そういった気持ちが伝わるんですよ。加山さんの場合は。

そこには、冷暖房がないんですよ。200号の絵がスタートしたのが、9月で、終わったのが11月だったんで、暑い時から始まって、Tシャツ一枚にショートパンツから始まって、段々いい気候になるんだけど、そのうち寒くなってきて、冷えてきたら、社長が暖房器具を用意してくれて暖かくしてくれたうえに、三畳敷きの畳の台を作ってくれて休憩が取れるようにしてくれたんです。
3時になると、おはぎやお菓子を持ってきてくれて、静岡の美味しいお茶を入れてくれて、「お茶にしようや」って、二人でお茶飲んだりしてたんです。200号の絵をその台に寝かしておいてみたら、ピッタリ同じ大きさだったんです。だから、それ以来、絵の大きさを畳三畳と同じですと表現してます。

宮本)使ってらっしゃる絵の具のメーカーは?

あんまりぼくは、メーカーは気にしないですね。トランスバリアント・ブルーとトランスバリアント・グリーンだけは、扱っているメーカーがそこしかないから決まっているけど。グリーンは、海のいい色が出せるんですよ。

宮本)そのメーカーはなんというメーカーですか?
(と、しつこく聞き出そうとしますが) 

いや、わかりません。色の名前だけ覚えておいてください。

宮本)ローマ字でサインされてあるのと漢字でサインされてあるのがありますが、この違いは?

例えば、この富士山の絵を日本間に飾りたいという人には漢字で、日本画っぽく、洋画をかいたときは、ローマ字で描いてます。

宮本)加山さんは、絵を描かれるときにいろんな色を使われると思いますが、加山雄三さんご自身を色に例えるならば何色で、理由は?

自分を色に例えるとしたら?いや難しいねえ。
自分の後ろには海がいっぱいあると思っているし、
海の上に居るときが一番安らぐというか、航海に出なくても、海の上にいると落ち着くというか・・・。だからブルー系の色が合うかなと思います。
でも一色じゃ無理だな。心の中はオレンジ色っぽい、いっつも
ボワーっと燃え上がっているものがあって、かといってそれ一色じゃなくて、やっぱりコンビネーションみたいのがあって・・・。
だから「日の出の海」じゃなくて、ちょっとややこしいんだよね。

宮本)マリンブルーですか?

そうですね、でも同じブルーでもね、プロシャンブルーとかいろいろあるんですよ。
雲の色も白だけじゃないんですよ。クリムソンレッドといって、雲を良くみてみるとね、多少赤みがかっているんですよ。

宮本)いやあ驚きました。雲は白いものだと思ってました。

これから注意して雲を観てください。いろんな色をしていますから。

宮本)加山さんは視力が良くて、今でも「1.5」と「1.0」で、若いときは2.5まであったんだそうです。だからそういうのが見えるんじゃないですかね

そんなこたあないよ。

宮本)73才で、視力が「1.5」の人っています?

子供の時からずっと、起きたらまず緑色のものを見る。眼のコンディッションの整え方と言うか、日々続けることが若さとか健康を維持する方法かも。持続的な運動ならいいんですけど、過激な運動を沢山やって、活性酸素を発生させたままにしてしまうとダメなんです。活性酸素って皮膚とかいろんなものを、人体の中身も錆びさせるんです。だから、活性酸素は避けたほうがいい。自分で作っちゃうんです。過激な運動をすると、物凄く発生するんです。じゃあ何がいいかというと、スモールな運動、ゆっくりとした運動、水泳がいいんですね。強烈な汗をかいたり、物凄い勢いで走るとか、ロッククライミングなんかやって発生させた、活性酸素を取り除く方法を知らない人は、みんな、しわだらけになってるんですね。

宮本)私には妻が一人いるんですが・・・。

普通、妻は一人でしょう!?

宮本)その妻が、あるとき、加山さんの顔をじっと見てたんです。「しわがない!」、一緒にいたおばさんたちが「私達、もう家に帰れないわ、うち帰って主人の顔、見たくない!」

サイン会での加山さん@。 サイン会での加山さんA。
宮本)一週間に何回ぐらい、水泳をされるんですか?

船に乗ると、海に入って泳ぎます。真冬に飛び込むんです。
ウエットスーツも着ないで、入るんですが寒いんです。
修行のつもりで
入るんですが、
「あなた、いい加減にやめてよ、私見てられない」って家内が心配するんで、やめましたが、
今でも、毎晩、水道の水をかぶってますよ。瞬間的に身が引き締まるんです。そのときに、感謝の気持ちを込めながら。一番冷たいのは2月の水なんです。痛いくらいなんです。一日に一回身を引き締めるというのはいいんですね。
毎日が新しい一日のスタートだという気持ちになれる。

宮本)ご自分には、厳しいんですか?

心がけてることがあります。ある方(竹内均教授)がおっしゃられた言葉なんですが
勤倹(きんけん)、貯蓄(ちょちく)、報恩(ほうおん)、周知(しゅうち)、さいけ?、外柔(がいじゅう)、内剛(ないごう)。
黄金律(おうごんりつ)、ゴールデン・ルールと言ってますが、
勤倹・・・勤勉で倹約する心。貯蓄・・・知識とかエネルギーを貯蓄する。
報恩・・・恩に報いる。周知・・・きちっと広げる。
さいけ?・・・家を治める。
こんなことできるわけねえだろうって思ったんですけど、でもなんとか心がけています。
世の中を変えたいと思ったら自分が変わるしかない。

「トークショー A」はこちらから。

10年10月06日新設