渡辺祐のリビングラジオ 
 (NHKFM 5月14日 18:00〜18:50)

 番組冒頭から約42分間出演され、レジェンド、黒澤明監督について、
「椿三十郎」と「赤ひげ」の撮影エピソードを交えてお話しされました。
 

 パーソナリティーは渡辺祐、アシスタントは黒崎めぐみアナ

渡辺)毎回ゲストをお招きして、その方が交流の深かったレジェンドについて素顔だったり、
   魅力の秘密だったり、いろいろ語っていただきます。そのお話を通して私たち自身が
   今を生きるためのヒントを見つけようという番組です。
   それでは、さっそくゲストをご紹介いたします。今夜お招きしたのは、この方です

黒崎)多彩な才能をお持ちの俳優・加山雄三さんです

よろしくお願いいたします。

渡辺)よろしくお願いいたします。完全に緊張しております。加山さんは、御存じ若大将でして
   私は子供の頃ですね、若大将シリーズを見れて。画家であり、シンガーであり、作曲家で
   あり、船長であり。そして今年80歳ということで。おめでとうございます。

ありがとうございます。

渡辺)傘寿ですよね。いろんなところで聞かれているとは思いますが、若さの秘訣は
   何なんでしょうか?

あんまり齢の事を考えない、何でもかんでも楽しんでやってるということが、もしかしたら秘訣
かもしれないなと思うんですよ。好きだからやってるとかね。食べるものも何でも食べる。嫌い
なもの、2つほどありますけど。

黒崎)嫌いな食べ物知りたいです

ホヤ!臭い!あとチョコレート。ミルクチョコレートは大丈夫です。苦いのがダメです。もう一つ
あった、梅干。お腹壊してお粥しか食べられない時には美味しく食べますよ。普段は酸っぱくって
顎のわきが痛くなる。

渡辺)きょうは、そんな多才な加山さんではありますが、最初に語っていただくレジェンドは、
   黒澤明監督です。
   加山さんは若大将シリーズのイメージがありますが、黒澤作品「椿三十郎」で若侍の
   リーダー、井坂伊織、そして「赤ひげ」では長崎帰りの若い医者、保本登役でご出演
   なさっていて。実は僕、黒澤さんの映画の中で、加山さんの印象が ものすごく強いんです。

そうですか!?

渡辺)若手としての登場感。2作とも三船敏郎さんがいらっしゃいますけど、主役と言っていい、
   大変重要な役をなされているので。

有難いことでしたね、あれはね。

渡辺)そんなわけで黒澤監督の話を伺っていくんですが、その前に、加山さんの最近の活躍ぶりが
   今の言葉で言う”ぱない”というやつで、”半端ない”んですよ。

”ぱない”!?はっはっはっは。

渡辺)昨年のライブも若手の皆さんとやってらしたし。最近でいうとリミックスアルバムが出て、
   これがすごいメンバーで。ももいろクローバーZも入ってますけど、スチャダラパーとか
   RHYMESTERとか、今話題の「水曜日のカンパネラ」とか旬の若手というのは加山さんが
   意図しているところなんですか?

はい、もちろん。若者の、音に対する敏感なセンスというのは、やっぱり半端ないですよ。
そういう人たちとコラボやりたいなあと思ったり、僕の原点はロックだったんですよ。それが、
鼻こすって横、行っちゃったわけね。それは不本意だったわけ、僕としては。

渡辺)そうなんですか!?でも、名曲だらけじゃないですか。

おかげでそうなったんですけど。望みはロックがやりたくて、やりたくてっていうんで、バンドを
自分で作ってやってたんで。時々思い出したように自分のステージでロックを入れてみたりして
たんだけど。何とかできないかと思ってたら「THE king ALL STARS」で、13人も集まって。
これでやったらすげえノリノリで出来る。50年も前に作ったロックを連中に聴かせたら、これ、
全然古くないですよ!今やれます!って。演奏してもらったら、ほんとにいいんだね、これが!

渡辺)そこから始まって、さらにリミックスアルバムまで。ほんとに現役感が素晴らしい!

いいですねえ!その現役感を狙ってるんですよ。現役感はいつでも持ってなくちゃいけない。今を
大切にする。

渡辺)この時代に居る加山雄三がね、ものの見事に表現されている。

昔は、こうだった!というのは嫌いでね。今だ!って。

渡辺)じゃ「加山雄三の新世界」から、「お嫁においで2015」feart.PUNPEEを聴いてみてください。

「お嫁においで2015」feart.PUNPEE

ここまでを期間限定で音源を掲載いたします。(掲載終了しました)

 

渡辺)きょうは加山雄三さんから黒澤明監督のお話をいろいろ伺ってまいりましたが、黒澤明監督は
   我々には偉大過ぎるという感じがあったんですけど、加山さんのお話を聞いていると人間味の
   ある人で

黒崎)そうですよね、優しかったってずっと仰ってましたもんね

渡辺)他人を見る目、観察しタイミングを計って。どういうことを今やらせてあげれば、いいか
   みたいなことを常に考えている、根っからの監督さんですね。

黒崎)黒澤監督を見ている、加山さんの図が浮かびましたよね

渡辺)師匠と弟子みたいな感じの関係だったんですね。あと何といっても加山さんが黒澤監督から
   好かれてた、可愛がられてた感が素晴らしい!加山さんが言うと自慢話というよりほんとに
   お茶目に聞こえるじゃないですか。そこがね、私も見習っていかなきゃならないと思い
   ました。加山さんにも教えてもらったように思いました。どうしてもこの齢になると若い人
   と話した時に、自慢話みたいになっちゃいがちなんですよ。

黒崎)経験値を語りたくなっちゃう。

渡辺)語るのはいいと思うんですけど、自慢げに言ってるみたいな、武勇伝ぽくなっちゃう。
   そこが加山さんはカワイイんですよね。不思議ですねえ。きょうはいろんなことを学び
   過ぎて、まとめにくいんですけど。今、何が必要とされていて何をやるべきか、客観的に
   見ながら進めて行くというやり方を学んだというのは、どの仕事にも応用できる必要な
   ことだと思うんです。自分がやりたいことと、やるべきこととバランスがいい状態じゃ
   ないと、いい仕事にならないんじゃないかというのを感じながら、お話を伺っていました
   けどね。黒澤映画は完璧すぎて素晴らしい作品ばかりなんですけど。その手前にある
   監督のものの見方とか、環境作りとかがわかって、きょうは本当に良かったです。

黒崎)実際に指導を受けた人じゃないと、わからなかった世界ですもんね。

渡辺)私、個人的には、黒澤監督の重厚な映画にクランクインしながら、サーフィンに行ってたり
   船舶免許を取りに行ってたりしたという加山さんの自分に対する、やんちゃな自由さという
   ものにも感銘を受けましたので、きょうはここで私が紹介する曲は、若大将っぽい曲を紹介
   したいと思います。ベンチャーズバージョンで「ブラックサンドビーチ」。

「ブラックサンドビーチ」(ベンチャーズ)

渡辺)お送りした曲は、「RESPECT KAYAMAYUZO」というアルバムに収録されています。
   きょうは盛りだくさん過ぎで、いろんなヒントあり過ぎでしたね。

黒崎)しかもパワーもらいましたね。

渡辺)私の父親ぐらいの年齢でいらっしゃるんですけど。なんて言ったらいいんでしょう、この
   エネルギー!

黒崎)握りこぶしを振り上げながら、語ってくださってましたからね。

ここまでを期間限定で音源を掲載いたします。(掲載終了しました)

 

2017年09月28日新設